バリアフリーがすべてではない!
高齢者や障害者にやさしい建築物として、バリアフリー仕様が推進されてきました。公共の建築物には、バリアフリー法(=高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)により、規定された構造への適合義務や努力義務が定められています。
しかし、個人の住宅に関しては、バリアフリーを優先することが至上ではありません。状況次第では、スキップフロア仕様を採用することにより、高齢者の自立支援を促進させる場合があります。私がケアマネジャーとして訪問している利用者の中にも、三人ほど、いま自宅にある段差や障壁をなくすと、かえって下肢筋力の低下要因になるとの危機予測がなされてしまう方がいます。段差や障壁を乗り越えていくことが、ADLの維持につながっているのです。
昨日、初めて訪問した民家改造型の通所介護でも、経営者が同様な考えに基づいて所内の段差をそのままに残していることを知り、なるほどと納得しました。
もちろん、利用者の状態変化により移動能力が低下した場合、迅速に住宅改修などのしかるべき方策を導入することが望ましいことは、言うまでもありません。しかし、リスクばかりを懸念して、至れり尽くせりで段差や障壁をなくすことを考えるより、その方の生活場面に合わせて対応することが大切でしょう。これは訪問系や通所系サービスなどにも通じる自立支援の基本的な考え方です。
その人らしい、生き生きとした暮らしをどう実現していくか? 住環境一つを取っても、現実を見据えたアセスメントが求められるでしょう。
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