二十四史の面白さ(3)
中国の正史のうち、「表」が存在するのは、はじめの『史記』と『漢書』、そのあとは、『新唐書』以後のものになります。途中の魏晉南北朝時代の正史には、「表」が含まれていません。
「表」は基本的に、宗室(皇族)の系譜や、大臣の任免など、客観的な事実経過を表にすることにより、「紀」「伝」を理解する一助になるものです。したがって、原則として、撰者の主観が入るということはありません。
ところが、例外なのは『漢書』の「古今人表」です。これには天地開闢から漢の建国当時に至るまでの歴代の人物を、「上の上」から「下の下」までの九段に分けて掲載してあるのですが、この九段の分け方は、もっぱら撰者である班固の主観によるものです。そのため、後世の史家からは、この人はもっと上だ、この人はもっと下だというような批判が、いろいろと寄せられています。
しかし、堅苦しい古代中国の史書の中で、こういう個性的な部分が垣間見えるのが、古代史学の中でも、一つの面白い部分なのでしょう。
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