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2013年1月17日 (木)

二十四史の面白さ(4)

『後漢書』は南朝宋時代の范曄(398-445)撰ですが、歴代正史の中でも、面白さという点では一、二を争うものでしょう。

この書の魅力をいくつか掲げてみましょう。

・東漢(後漢)から魏・晉を経て、三代あとの宋王朝の時代に著述しているため、前王朝時代の有力氏族からの制約を受けることなく、自由な立場で記述している。

・男性優位の古代中国社会にあって、巻10「皇后紀」(正史での皇后の扱いは、通常は皇帝と同じ「紀」ではなく、一般人と同じ「伝」)や、巻84「列女伝」(再婚した蔡文姫の伝を載せている)など、女性の待遇に意を配っている。

・各列伝の本文では、エピソードを巧みに交えながら人物の生のままを活写し、論賛では、登場人物の人間としての生きざまを個性的な視点から評価している。

・巻82「方術列伝」、巻83「逸民列伝」など、政事にこだわらない世界にあこがれた六朝の人士好みの題材を、充実させた編集がなされている。

こういうところでしょうか。単にエピソードの面白さだけであれば、『晉書』もこれに匹敵しますが、作品全体の豊かさや潤いということになると、『後漢書』のほうが明らかに勝っています。たいへん味わい深い史書だと言うことができます。

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