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2013年1月

2013年1月25日 (金)

ワーグナー楽劇の面白さ(1)

今年はワーグナー(Richard Wagner/1813-83)生誕200周年です。私は高校生時代からワーグナーが大好きで、国内限定ですが、ときどき劇場へも足を運んでいます。

ところで、ワーグナーの主要作品の題材には、おもしろい構造が見られるのです。それは、それぞれの楽劇(歌劇)の素材になっているドラマが、どれほどの長さの期間を扱っているかということなのです。

整理してみました。

・さまよえるオランダ人 3日間(幕開けから終結まで。以下同)

・タンホイザー 5月から秋までの約半年間

・ローエングリン 3日間

・トリスタンとイゾルデ 不明。状況から推定すると1~2か月程度か

・ニュルンベルクのマイスタージンガー 2日間

・ニーベルングの指環 天地生成から神々の滅亡までの長大な時間

・パルジファル 不明。推定困難だが、悠久の時間

これを見れば一目瞭然です。素材の時間的な長短の違いが極端なのです。

しかし、鑑賞している側には、あまりそういうことを感じさせません。どの作品も深遠な主題を取り扱い、壮大な音楽で聴衆を魅せてしまいます。そこがワーグナーの音楽構成の卓越したところなのでしょうね。

2013年1月17日 (木)

二十四史の面白さ(4)

『後漢書』は南朝宋時代の范曄(398-445)撰ですが、歴代正史の中でも、面白さという点では一、二を争うものでしょう。

この書の魅力をいくつか掲げてみましょう。

・東漢(後漢)から魏・晉を経て、三代あとの宋王朝の時代に著述しているため、前王朝時代の有力氏族からの制約を受けることなく、自由な立場で記述している。

・男性優位の古代中国社会にあって、巻10「皇后紀」(正史での皇后の扱いは、通常は皇帝と同じ「紀」ではなく、一般人と同じ「伝」)や、巻84「列女伝」(再婚した蔡文姫の伝を載せている)など、女性の待遇に意を配っている。

・各列伝の本文では、エピソードを巧みに交えながら人物の生のままを活写し、論賛では、登場人物の人間としての生きざまを個性的な視点から評価している。

・巻82「方術列伝」、巻83「逸民列伝」など、政事にこだわらない世界にあこがれた六朝の人士好みの題材を、充実させた編集がなされている。

こういうところでしょうか。単にエピソードの面白さだけであれば、『晉書』もこれに匹敵しますが、作品全体の豊かさや潤いということになると、『後漢書』のほうが明らかに勝っています。たいへん味わい深い史書だと言うことができます。

2013年1月 9日 (水)

二十四史の面白さ(3)

中国の正史のうち、「表」が存在するのは、はじめの『史記』と『漢書』、そのあとは、『新唐書』以後のものになります。途中の魏晉南北朝時代の正史には、「表」が含まれていません。

「表」は基本的に、宗室(皇族)の系譜や、大臣の任免など、客観的な事実経過を表にすることにより、「紀」「伝」を理解する一助になるものです。したがって、原則として、撰者の主観が入るということはありません。

ところが、例外なのは『漢書』の「古今人表」です。これには天地開闢から漢の建国当時に至るまでの歴代の人物を、「上の上」から「下の下」までの九段に分けて掲載してあるのですが、この九段の分け方は、もっぱら撰者である班固の主観によるものです。そのため、後世の史家からは、この人はもっと上だ、この人はもっと下だというような批判が、いろいろと寄せられています。

しかし、堅苦しい古代中国の史書の中で、こういう個性的な部分が垣間見えるのが、古代史学の中でも、一つの面白い部分なのでしょう。

2013年1月 1日 (火)

神の母聖マリアの祝日に

新年明けましておめでとうございます。

カトリック教会では、1月1日は「神の母聖マリアの祝日」です。私も午前中はミサに参列し、祈りを捧げてきました。

今年の方針として、副業(執筆)で自分の専門性を整理するとともに、本業(ケアマネジメント)でも初心に帰り、しっかり利用者本位の仕事を続けていきたいと考えています。

実は、予防介護支援を地域包括支援センターから受託しないのも、本当の目的はそこにあります。

浜松市の場合、予防介護支援は「一括受託」となっています。すなわち、同居家族が要介護者であるとか、以前居宅介護支援の利用者だったとかの理由で、限定的に受託することができません。一人の方を受任すれば、空きがある限りはどなたでも受任しなければなりません。

すると、たとえば一年前のように、要介護の利用者が23名だった場合、当所の空きは(35-23)×2、すなわち24名ということになります。もしあの時点で受託可能だと開示していたとすると、要介護の利用者がどなたか入るまでは、要支援の利用者を24名までお断りすることができなかったでしょう。そうなっていたら現実的にケアマネジメント業務の質はとても確保できなかったのです。仕事量に見合わない報酬によって、経済的にも大きな打撃となります。

こう言うと、「そこまで馬鹿正直にルールを守ることを考えるケアマネジャーはいないよ」と笑う人がいるかも知れません。しかし、ケアマネジャーが馬鹿正直にルールを守ってこなかったから、各地で問題が噴出し、いま、これほどアマネジャー「無用論」や「再教育必要論」がたけなわになってしまったのではないでしょうか。

このような事情で、当所(私)は予防支援を受託しない方針を貫いています。むしろ、予防支援は「行政責任」なのですから、もし地域包括の業務としては手に余るようであれば、市が地域包括を法人へ委託せず、直営すれば良いのです。民間を安く使おうとすると、いつかは「安かろう悪かろう」に堕するのは、市場原理から考えても自然な趨勢です。

予防支援を受任しないことにより、利用者の状態が改善され「要支援」となって、私の顧客リストから去っていくことが、年一回程度起こっていますが、それ自体は決して悪いことではありません。あくまでも「質」を重視した仕事を最優先に対応していきたいと思います。

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