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2013年2月 2日 (土)

ワーグナー楽劇の面白さ(2)

R.ワーグナーの楽劇で、たいへん興味深いのは、「さまよえるオランダ人」以降の全作品が、いわば一つの糸で結ばれていることです。

たとえば、「パルジファル」のタイトルロールであるパルジファルは、聖性を持つ「ローエングリン」の父親であり、登場する場面で白鳥のモチーフが重なりますし、救済を得られず生き長らえているクンドリは、「さまよえるオランダ人」の女性版とも言えます。

また、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は当初、悲劇である「タンホイザー」と対になる喜劇として構想され、ヴァルターは「タンホイザー」に登場するヴァルターの芸術的後継者となっています。他方で「マイスタージンガー」は「トリスタンとイゾルデ」とも対になっており、トリスタンの和音が第三幕で登場します。異なる姿の楽劇が、さまざまな愛の形を織りなします。

さらに、傷を負って苦悩する「パルジファル」のアンフォルタスは、「トリスタン」とも共通する存在であり、ワーグナーも当初は苦しむトリスタンのもとをパルジファルが訪れる筋を描いていたと言われています。

「ニーベルングの指環」には他の作品に描かれる題材、「愛」「救済」「死」が生々しく描かれており、これらの題材を人間の権力争奪の渦中に位置づけることで存在をより一層際立たせる効果を上げました。

「パルジファル」はこれらの題材をいわば「完結編」として描写しながら、「オランダ人」に始まる大河の流れのような作品群を総括するものでありましょう。

まさに、長大な楽劇の連作が、「ワーグナー大全集」だと言うことができます。

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