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2013年2月

2013年2月28日 (木)

陸橋と地下道の風景

私はケアマネジメントのため利用者宅へ訪問しますが、現利用者のうち過半数の方、30人中17人のお宅へは、車を使わずに「徒歩」または「バス+徒歩」で訪問しています。

その16ルート(ご夫婦が1組おられますので)のうち、3ルートで陸橋を、8ルートで地下道を通ります。ときに経路を変えて行くことがありますが、多くは同じ陸橋や地下道の風景を目にすることになります。

陸橋の多くは錆が広がって老朽化し、「大丈夫かな?」と不安を抱きながら通っています。橋の上からは、街の様子が一望できます。よく観察すると、かつては商店が軒を連ねて営業していた界隈でも、日中からシャッターが降りているところがポツポツと目立つようになってきました。どの街でも似たような風景なのでしょうか? ものを買う人たちは大きなショッピングセンターのほうへ流れ、街中の道はただ車が通過するだけの幹線と化し、混み合うこともない歩道を通る人の姿が、なぜか寂しげに見えます。

地下道。人通りの多い通路は明るくにぎわい、壁にもポスターや子どもの絵などの展示物が彩りを加えています。しかし周囲に横断歩道があるなど便が悪い地下道は、まず通る人の姿を見かけることもありません。ときにそういう地下道に足を踏み入れると、ところどころに立てかけられているダンボール箱の向こうに、おそらく路上生活を余儀なくされた人が夜になって身を横たえるであろう、汚れた寝具が無造作に放置されています。

ふだん、あまり気を留めずに通り過ぎてしまう街の風景。陸橋や地下道を自分の足で歩くことで、移ろいゆく街の生々しい姿を味わうことができます。私の仕事の中では、それが一つの醍醐味でもあるのです。

2013年2月21日 (木)

介護予防計画とは何か?(2)

「介護予防」という言葉は、通常、65歳以上の高齢者、あるいはそれに近い人たちを対象に使用されます。加齢に伴う心身の機能低下を強く意識する世代が、ふだんから運動や対人交流などに意を配り、支援や介護を必要とする状態にならないように心がけ、努めるのが「介護予防」だとされています。

ところで、このようなケースはどうでしょうか?

社会的な「引きこもり」の人たち。学校の不登校から引きこもりが続いている人、社会人になってから職場に適応できず引きこもった人など、形態はさまざまです。ただし、この人たちに共通するのは、就労しないことによって体力の低下を招いているという現実です。

どのような業種であっても、仕事は大きなエネルギーを消費します。専業主婦(夫)の場合も、家事や育児には相当量のエネルギーを消費します。引きこもりの人たちは慢性的にそれらをしていない。ですから引きこもりの期間が長い人ほど、就労している同世代の人たちに比べて、顕著な体力の低下が起こっています。疾病にかかりやすくなり、心身の機能低下を来たす可能性も高まります。決して引きこもりの人たちを差別するものではありませんが、ご本人たちが現実を直視することは大切でしょう。

このような切り口から考えると、「介護予防」とは、20代や30代の人たちとも無縁ではないという結論が得られます。これは決して一握りの特殊な例を挙げているということではありません。就労して標準以上の体力がある若年世代の人であっても、歯磨きなど口腔内の手入れを怠れば、中高年で自分の歯を失い、義歯などで咀嚼機能を維持しなければならなくなるのですから。

これからの社会を担う青年たちには、「介護予防は20代から」という意識を強く持ってほしいと願います。

2013年2月10日 (日)

北秋田市へ行ってきました

秋田県の北秋田市から、2月8日の介護給付費適正化事業「介護支援専門員研修」の講師としてお招きいただき、二泊三日で同地まで「出稼ぎ」に行ってまいりました。

東海道新幹線、東北・秋田新幹線、奥羽本線を乗り継いで、鷹巣に到着したのは、前日7日の19時近く。北秋田市・介護保険班長の佐藤さんが出迎えてくださいました。

駅近くのホテルでチェックインを済ませたあと、佐藤さんのご案内で夕食。駅近くはシャッターを閉じている店が多く、飲食できる店は駅から少し離れたところに散在しており、さらに国道に近いところに繁華街もあるようです。佐藤さんのご手配のおかげで、料理屋の「きりたんぽ鍋」と「比内鶏」とを満喫!

8日当日、朝起きてみると、雪また雪。暖国の私にとって、普段は全く見たこともない光景です。このたいへんな状況で仕事をしなければならない方々のご苦労はどれほどのものか、と思いつつ、会場へ向かう支度を。結局「転倒予防」の見地から、市の担当課のお言葉に甘えて、車で送迎していただくことに。

10時から市の交流センターで研修。80人近い市内のほとんどのケアマネジャーさんが参加される盛況で、講義をする私のほうも力が入ります。午前中はときどき参加者同士2~3人で提示事例について相談する機会を設けながら、講義主体の構成。

昼食はまた市の職員さんの運転する車でレストランまで行きましたが、雪道に全く慣れた巧妙な運転(浜松の人には到底無理ですね)には、ただただ感嘆! 午後は提示事例に基づくグループワークの演習を交え、一日のスケジュールが終了。

18時からは県北介護支援専門員協会事務局長・櫻田さんのご手配で、有志の15名ほどの方々が懇親会の席を持ってくださいました。ここでも(会費は皆さんと同じだけしか出さなかったのですが)ご厚意で、私のために「きりたんぽ鍋」が。ちなみに、地元の方々にとって、きりたんぽは家庭料理なので、料理屋で食べることはないとのこと。

地元のケアマネジャーさんたちと意見交換しながら、地域の高齢化率が高いことや、サービス・人材が質量ともに十分でなく、短期入所利用が長期化していることや、雪の季節には事業所も行政も、労力・財政ともに負担が大きいことなど、北秋田市の介護業界が抱える厳しさを教えられました。そのような状況下で地域の高齢者を支えていくケアマネジャーさんの心意気には心から敬服します。静かな感動を覚えながら歓談を続け、22時までお付き合いして散会。

帰路は朝早く、鷹巣から秋田内陸縦貫鉄道に乗って角館へ。さすがに寒冷地仕様の電車だけあって、豪雪をものともせず山道を走り抜けていきます。途中の駅で思いがけず、市の佐藤さんがお見送りに来てくださいました。ご厚意への感謝をお伝えして、北秋田市から離れ、角館からまた新幹線を乗り継いで、浜松に戻りました。

得難い体験をした三日間。自分の引き出しを広げることができた行程でした。

2013年2月 2日 (土)

ワーグナー楽劇の面白さ(2)

R.ワーグナーの楽劇で、たいへん興味深いのは、「さまよえるオランダ人」以降の全作品が、いわば一つの糸で結ばれていることです。

たとえば、「パルジファル」のタイトルロールであるパルジファルは、聖性を持つ「ローエングリン」の父親であり、登場する場面で白鳥のモチーフが重なりますし、救済を得られず生き長らえているクンドリは、「さまよえるオランダ人」の女性版とも言えます。

また、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は当初、悲劇である「タンホイザー」と対になる喜劇として構想され、ヴァルターは「タンホイザー」に登場するヴァルターの芸術的後継者となっています。他方で「マイスタージンガー」は「トリスタンとイゾルデ」とも対になっており、トリスタンの和音が第三幕で登場します。異なる姿の楽劇が、さまざまな愛の形を織りなします。

さらに、傷を負って苦悩する「パルジファル」のアンフォルタスは、「トリスタン」とも共通する存在であり、ワーグナーも当初は苦しむトリスタンのもとをパルジファルが訪れる筋を描いていたと言われています。

「ニーベルングの指環」には他の作品に描かれる題材、「愛」「救済」「死」が生々しく描かれており、これらの題材を人間の権力争奪の渦中に位置づけることで存在をより一層際立たせる効果を上げました。

「パルジファル」はこれらの題材をいわば「完結編」として描写しながら、「オランダ人」に始まる大河の流れのような作品群を総括するものでありましょう。

まさに、長大な楽劇の連作が、「ワーグナー大全集」だと言うことができます。

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