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2013年4月17日 (水)

漢字の成り立ちを考えてみよう(1)

拙著『介護職の文章作成術(厚有出版)』の第3章、100ページのところで、「啓蒙」が不快用語であることを説明しています。N-Pocketの井ノ上さんがブログで言及してくださっていますので、繰り返しませんが、「蒙」の意味をきちんと漢和字典で調べていれば、この言葉を一般の(専門家でない)市民に対して使うのが、時代遅れで不適切であることを理解できます。

他の例も挙げましょう。「案」という言葉。「案」の文字は「つくえ(机)」を意味します。したがって、ケアプランも原案の段階ではまだ机上のものであり、利用者と向き合って、説明しながら了解・同意を得ることで、はじめて正式なケアプランになるのです。ケアマネジャーの皆さん、特に施設のケアマネジャーさんは、一人ひとりの利用者に対して、ケアプランを「案」から正式なものにする手順を、丁寧にたどっているでしょうか?

このように、漢字そのものの意味をしっかり確認することによって、無用のトラブルや中途半端な仕事から遠ざかる契機になりますが、さらに漢字の「成り立ち」にまで踏み込んで行くと、より深みのある使い方ができると思います。

たとえば、文章の「章」。発音が「しょう」なので、「立」+「早(そう)」という構成の文字だと錯覚していませんか? しかし、正しくは「音」+「十」。「十」は数の節目、一つのまとまりを意味します。ですから、楽曲の「第○楽章」のような使い方が、「章」の文字のもっとも本来的な使用法です。つまり、まとまりがない漫然とした「文章」などあり得ないことになります。

また、介護の「介」。人が二人助け合っている姿のように思えてしまいます。しかし、本来の意味は「区切り」。「介」は要するに「界」のことです。人と人とが、それぞれの分をわきまえ、しっかりと互いの区切りを設ける。その上で隣人として助け合うことが大切なのです。専門的支援者としての「区切り」ができていない介護職員さんは、「介」の文字の原点に帰って、自分自身の専門性を見つめ直してください。

このように、4,000年の歴史を持つ漢字も、その根源にさかのぼってみることで、現代の私たちの生活や仕事のあり方に、大きな示唆を与えてくれます。漢字の成り立ちを考えてみることは、自分自身を成長させる好機になるかも知れません。

(P.S. 私の体調不振と、出版社側の事情のため、第二作の出版がたいへん遅れており、申訳ありません。初夏までには出る予定ですので、具体的には後日当ブログで予告いたします)

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