« 口のきき方で介護を変える!(1) | トップページ | 口のきき方で介護を変える!(3) »

2013年8月31日 (土)

口のきき方で介護を変える!(2)

(前回より続く)

その方は80代、歩行困難で寝たきり状態の女性でした。入浴目的で短時間の通所介護を利用していましたが、たいへん頭の低い方で、介護する職員に対していつも「お世話になっています」と丁寧語で話しかけていました。他方、介護する側の職員はほとんど、この方に対してタメ口をきいていて、丁寧語で話していたのは私だけでした。

家庭介護が難しくなり、この方が施設入所することになって、私がお役御免のあいさつに出向いたときに、「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな、というのは、あなたのことですね。○○大学卒の人なのに、本当に丁寧な言葉でお話ししてくれました」と言われました。短期記憶もあいまいだった人なのに、どこで聞いたのか、私の学歴まで知って記憶していたのです。

利用者の認知症が進んでいるから「どうせすぐ忘れるんだろう」などと思って、相手を軽んじた言葉遣いをしている介護従事者は、大いに反省すべきでしょう。認知症が進んだ利用者も、介護する職員が自分を人間として尊重しているのかを、しっかり観察しています。私たちは、利用者の理解力・判断力がいかに低下していても、その目を恐れなければなりません。常に私たちは顧客から評価されているのです。その評価の大きな指標の一つが、「口のきき方」ということになるでしょう。

しかし、すでに述べているように、私たちの介護業界、さらに広く保健・医療・福祉業界では、一部の事業者を除き、業界全体として「口のきき方」の研修教育ができているとは言い難いのが実情です。これでは一般市民から、「介護の人たちは、どうせあのレベルだから・・・」と見なされてしまうのがオチでしょう。「だったら、報酬だって安くても良いよね?」。

今回の私の新刊書も、このような実態に対する危機感から、世に出すことになりました。

Photo

(続く)

« 口のきき方で介護を変える!(1) | トップページ | 口のきき方で介護を変える!(3) »

ケアマネジメント」カテゴリの記事

介護」カテゴリの記事

著作」カテゴリの記事

国語」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 口のきき方で介護を変える!(1) | トップページ | 口のきき方で介護を変える!(3) »

フォト
無料ブログはココログ
2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

他のアカウント