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2013年9月

2013年9月24日 (火)

ワーグナー楽劇の面白さ(4)

先週の21日(土)、びわ湖ホールまで「ワルキューレ」を観賞に行ってきました。

指揮は沼尻竜典、演出はジョエル‐ローウェルス。キャストはジークムントが福井敬、フンディングが斉木健詞、ヴォータンが青山貴、ジークリンデが大村博美、ブリュンヒルデが横山恵子、フリッカが小山由美。

歌唱は青山のヴォータンが傑出していました。神々の長としての厳しさ、父親としての優しさや苦悩、いずれも演技とともに迫力満点。声の安定度から言えば抜群で、まさに「聞かせる」ヴォータンと称すべき。

小山のフリッカ、福井のジークムントは秀逸でしたが、ともに「声量で稼いでいる」面があったかな? との印象です。横山のブリュンヒルデは第二幕より第三幕のほうが調子が良かった様子。斉木のフンディングと大村のジークリンデにはやや物足りなさがありましたが、大きな不満が残るほどではありません。全体として歌手は好演だったと評価できます。

沼尻の指揮は穏当で緩急よろしきを得ていたと思いましたが、ローウェルスの演出はどの場面で何を言いたいのかわかりにくく、観客の自由解釈に委ねるスタイルがかえって音楽とのミスマッチを生んでしまった感があります。オーソドックスな演出が良いというわけではありませんが、回想場面などで奇をてらった部分があり、何に焦点を当てて観賞するのか絞りにくい演出でした。028

その夜にはレストランで近江牛のステーキを味わい、翌22日には大津から今津、長浜を回って、初めて琵琶湖を一周してきました。浜松に居るといつも仕事と隣り合わせであるため、なかなか解放感を味わうのが難しいので、今回は骨休めの良い機会でした。

2013年9月16日 (月)

口のきき方で介護を変える!(4)

(前回から続く)

ところが、このように表現すると異論が出そうです。「自分の本質から発する自然な言葉で(P.14)」と言っているのに、たとえば「皇国の輸贏(P.184)」などの会話事例は、何十年介護の仕事をしていても、人によっては全く出会わずに終わってしまうような話ではないか? いったいどこが自然体なのか? という疑問が出てくるかと思います。

そういう質問をする方に対して、逆にお聞きしたい。

「本当に利用者のほうがこのレベルの用語を使ってきたら、どうするんですか?」

現実に対応しなければならないのは、介護従事者のほうなんです。そういうときのために、頭の中のボキャブラリーを増やしておいたほうがお得ですよ、ということなんですね。私自身も機械とか電気とか、理系の用語をポンと言われても、多くはその意味がわかりません。そのような場面に遭遇したら、いったん引き上げて自分で調べるしかないのです。そこで知らないまま過ごせば、次にその言葉が誰かの口から出てきても、わからないままなのですから。

他方、たとえば「暑い日が続きますね」のような時候のあいさつなどは、文中に記述してありません。社会人として、どの業界にいても当たり前の、小学生レベルで習得しなければならないような内容の解説に、貴重な紙数を割いてくれるほど余裕のある出版社でもありませんので・・・^_^; 密度の濃い内容になっていると自負しています。

まあ、ぜひお買い求めになってお読みください!

2013年9月 8日 (日)

口のきき方で介護を変える!(3)

(前回から続く)

この新刊書については、正月明けから「3月末発刊」と予告していたのですが、世に出るのが5か月も遅れてしまいました。皆さんにお詫びしなければなりません。

それというのも、元原稿を出版社側が閲読したところ、「内容がケアマネジャー向けに偏り過ぎている」という結論になり、大幅な書き直しをしなければならないことになったからです。その間、5~6月には本業の繁忙期にさしかかり、8月には会社の決算書提出と時期が重なったこともあって、最終的な脱稿が遅延を余儀なくされました。

結果として、広く介護従事者全般に参照していただける内容に仕上がったので、改作して良かったと考えています。なお部分的にはケアマネジャーや相談援助職向きの節もあります。私自身がケアマネジャー、あるいはソーシャルワーカーとして仕事をしてきましたから、その立場で「支援者」として話している事例が結構あります。また、「話し言葉」を扱った書籍なのですから、実際に介護されている家族や、その人たちの近くにいる一般の方々にも活用していただきたいと希望しています。

ここで扱った事例は、自分の身内を除けば、原則としてすべて架空事例・加工事例です。類似の2~3事例を合成したものが一番多いですね。たとえば家族設定はAさんで会話の流れはBさん、疾患はCさんで場面設定はDさんで会話の流れはEさん、といった具合です。何しろ27年間で400家族以上を「支援」の対象としてきましたから、類似した会話・やりとりの場面はいくつも経験してきました。誰か一人、一家族を特定できるものでは決してないことを、ご理解ください。

実は、私は口下手です。ですから同書に掲げた会話事例は、「何とかコミュニケーションを円滑にしたい」という「話下手の苦労」から生まれた成果だと言えます。実際に私と話した人からは、話し方は丁寧だが結構ストレートな物言いをする人だ、との評をいただくことがあります。繕ったり、ごまかしたりしていても、表現がヘタクソな自分の前では物事が進展しないという反省から、核心に斬り込んでいく話し方が、自然に身についていったような面があります。

(次回へ続く)

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