ワーグナー楽劇の面白さ(4)
先週の21日(土)、びわ湖ホールまで「ワルキューレ」を観賞に行ってきました。
指揮は沼尻竜典、演出はジョエル‐ローウェルス。キャストはジークムントが福井敬、フンディングが斉木健詞、ヴォータンが青山貴、ジークリンデが大村博美、ブリュンヒルデが横山恵子、フリッカが小山由美。
歌唱は青山のヴォータンが傑出していました。神々の長としての厳しさ、父親としての優しさや苦悩、いずれも演技とともに迫力満点。声の安定度から言えば抜群で、まさに「聞かせる」ヴォータンと称すべき。
小山のフリッカ、福井のジークムントは秀逸でしたが、ともに「声量で稼いでいる」面があったかな? との印象です。横山のブリュンヒルデは第二幕より第三幕のほうが調子が良かった様子。斉木のフンディングと大村のジークリンデにはやや物足りなさがありましたが、大きな不満が残るほどではありません。全体として歌手は好演だったと評価できます。
沼尻の指揮は穏当で緩急よろしきを得ていたと思いましたが、ローウェルスの演出はどの場面で何を言いたいのかわかりにくく、観客の自由解釈に委ねるスタイルがかえって音楽とのミスマッチを生んでしまった感があります。オーソドックスな演出が良いというわけではありませんが、回想場面などで奇をてらった部分があり、何に焦点を当てて観賞するのか絞りにくい演出でした。
その夜にはレストランで近江牛のステーキを味わい、翌22日には大津から今津、長浜を回って、初めて琵琶湖を一周してきました。浜松に居るといつも仕事と隣り合わせであるため、なかなか解放感を味わうのが難しいので、今回は骨休めの良い機会でした。
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