シマを作るな! 引き出しを作れ!
昨30日、浜松市医療及び介護の連携連絡会に、ケアマネジャーの代表として出席してきた。業界のIPWを推進する市の公式な会議である。
後半、「多職種連携を進めるにはどうしたら良いか」についての意見交換があった。いろいろな意見が出ているうちに、「懇親会」の話になったので、一言。
「懇親会やっても、シマを作っちゃうんじゃ、意味ないですよね」
三年前の話。浜松市医師会が生命倫理をテーマに多職種向けの講演会(講師は箕岡真子医師)を開催し、終了後に懇親会の席を設けてくれた。医師だけでなく、ケアマネジャー、看護職、リハビリ職なども多数参加した。
問題は、そのときのテーブル地図だ。
看護職とリハビリ職とが、勤務ケアマネと一緒に、お料理が並ぶ台から奥のほうの、三つぐらいのテーブルを占有していた。
他方、医師たちはおおむね台から入口へ向けて手前側に陣取り、開業型のケアマネやサービス事業経営者の多くは、そちら側の四つほどのテーブルを囲んでいた。
私自身はどちらのテーブルに居ても良かったのだが、そのときは初対面の医師と話したい希望があったので、おもに手前側のテーブルで、ときに奥の側へ出向いて飲食していた。
そして・・・両方のシマの間で、参加者が相互に行き来することは、たいへん少なかったのである。
面白かったのは、Aさん(市内の地域包括では指導的な立場の一人)と、Bさん(市内で居宅介護支援を展開し、とある分野では広く知られた指導的な立場の人)とが、それぞれ周囲に取り巻きのような塊を作ってしまい、(私が見落としていなかった限り)最後まで二つの塊は接近することはなかった。会場入りしたときから立てていた「仮説」が見事に当たった形だ。笑っちゃいましたね。
まあ、AさんもBさんも私と同年代の女性だ。水と油なのかも(^_^;)。たぶん今もね。
しかし、これで良いはずがない。そもそも、本当の多職種連携は、異なるフィールドの専門職が互いに尊重し合うことから始まらなければならない。その点から考えれば、AさんとBさんは、どちらも業界の指導者としての資質に欠けている可能性もある。
また、この二つの塊に属さない参加者にも、普段話さない種別の人たちともっと交流してほしかった。特に医師と談笑していたケアマネジャーはおおむね自営のケアマネ(居宅単独型も事業型も含め)だったことは象徴的だ。医師には開業医が多いし、勤務医も研修医を除けば医療機関で自立した職位を持っている。他方、少なからぬケアマネジャーが単なる被用者の位置に置かれ、主体的な行動を取りにくい立場に置かれている。
しかし、立場がどうであれ、業界では勇気を持って自分から人間関係を広げていかなければ、実のある連携は築けないであろう。いつも同じ人たちと話していても、日常業務に益するものではない。その意味で、勤務ケアマネの皆さんには、進んで医師や多くの職種の人たちと交歓する姿勢を持ってほしいものだ。
また、それのみならず、シマを作ってしまうことは大きな学びの機会を逸することになる。
たとえば上述した懇親会には、産婦人科の医師が5人参加していた。私はそのうち3人と知り合いで、残りのうち1人ともあいさつ程度は交わす間柄だ。ところが残念なことに、参加していたケアマネ、看護職、リハビリ職が産婦人科の医師と語っていたところを、ほとんど見かけなかった。
ふだん、おもには高齢者や障害者の医療に携わる職種であっても、いやそれだからこそ、部門違いの周産期医療とか婦人科(女性特有の疾患)の医療に関する話を仕入れることは大切だ。医療も(福祉も同じだが・・・)縦割りで分かれているのではなく、異なる分野が絡み合って社会保障全体を構成しているのだから、自分の専門外のところで何が起こっているのか、知識を獲得することにより、自分の新たな引き出しを作ることができる。
業界の皆さん、シマを作って損するより、引き出しを作って得しようではありませんか!
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