真の住民運動と似て非なる「プロ市民」の運動
集団的自衛権をめぐって起こっている動きを見聞しながら、思ったことがある。
「デモに参加する人たちって、ヒマな人が多いんだなあ・・・」
もちろん、自分の仕事を持っていても、安全保障に関する真摯な問題意識から、正しいと信じている運動に時間を割いて、デモに参加している人たちも多い。私の知人にもそういう人たちがいる。これらの「真の住民運動を展開している人」たちは、政治的な見解の違いは別として、社会にとって必要なことは、私たちとも手を携えて推進してくれる、尊敬に値する人たちだ。
しかし、他方で「そうではない人たち」も少なくない。いわゆる「プロ市民」と呼ばれる人々である。「反対のための反対運動」をしている人たちと表現すれば、わかりやすいかも知れない。
この人たちにはしかるべき資金源があるため(出所はある程度推測できるが、憶測でモノを言うのは適切でないので、言及しない)、運動の継続には困らない。公職にある者ならば有給休暇(だと信じたいが)を取り、仕事を持たない人ならば用事のない時間に駆け付けて運動に加わる。お金と時間はしっかりあるのだから、都道府県境など関係なく機動的に移動する。
これら「プロ市民」の共通項は、以下の通りである。
・要予約のパーティーに予約なしで参加する、臆面もなく約束を破るなど、社会人のマナーを守らない。
・これまで面識のない人へ深夜にFAXを送るなど、他の生活者の迷惑をかえりみない。
・公開討論の場と称しながら、自分たちの主張と対立する側の発言の機会を意図的に奪う。「言わせない」。
・価値観の押しつけ、マインドコントロールなどを事とする。子ども(自分の子ども以外の)に対してさえもそれを行い、考える機会を奪う。
・理想やイデオロギーだけを説き、判断根拠を明示しない。
・自分たちに理解を示す人は「賢い市民」として味方につけ、そうでない人は「愚かな市民」と断じて烙印を押し、攻撃の対象にする。
・自分たちのプライバシーが侵害されると権利意識をむき出しにして抗議する反面、同窓会名簿や会員名簿などを躊躇なく政党や思想の宣伝目的に使うなど、他人のプライバシーを踏みにじる。
まあ、少々乱雑な表現が含まれていたかも知れないが、大枠で言えばこんな感じである。すべての「プロ市民」が全部の項目に当てはまるわけではないが、多くの場合、上記の諸点で共通している。
以下は自分の体験談。
ずっと前になるが、とある小規模な環境保護団体の取りまとめ役を引き受けたことがある(これを読んで当時の関係者に対して迷惑行為を働く人間が現れてもいけないので、団体の活動内容や名称や年代は伏せておく)。そのとき、前任者から示された条件は、自分は勤務先の関係で団体の役ができなくなってしまったが、ある活動家(女性)が協力するので、受けてほしいというものであった。私はその当人にもきちんと書面であいさつして、協力を取り付けた上で、役を引き受けた。
ところが、その人物が、私に何の連絡もなく、無しのつぶてになってしまった。しばらくして、同氏は立ち上がったばかりの、ずっと資金力の豊かな環境保護団体の役員になってしまい、私のほうには全く協力する意思が無いことが、あとから判明した。私としては、同氏の協力なく団体の運営をするのは難しかったので、やむを得ず団体を解散することになった。はっきり言えば、裏切られた形だ。それ以来、ヒステリックに環境保護を訴える人たちの品性が信用できなくなってしまった。
それから長い年数が経って、2011年に県内の某市で大震災後の「がれき受け入れ」に対する反対運動を報じていたテレビを偶然見たとき、その女性が中心人物の一人として写っていたのである。
「ははあ、この人はそういう人だったんだな」
同氏が「プロ市民」であることがわかったのが遅過ぎたかも知れない。
しかし、こういう人たちが「9条護れ!」とか「オスプレイ反対!」とか、シュプレヒコールを揚げているのだ。残念ながら、こういう声にダマされてしまっている真の住民活動家も少なくないのが現実だ。
真の住民運動と「プロ市民」の運動とは、似て非なるものだ。私たちは英知を働かせて、本物とニセモノの区別をつけたいものである。
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