「聞くは一時の恥」-独立型ケアマネだからこそ
保健・医療・福祉に関する広範な知識が求められるケアマネジャー。独立型ならなおさら「自分がすべてを知っていなければ・・・」と構えてしまわないだろうか。
独立型に限らないが、ある程度職歴が長いケアマネジャーが、往々にして自分の情報収集能力を過信したり、プライドが前面に出てしまったりするがゆえに、自分が本当は理解していないことについて、確認しないまま言及してしまうことがある。
私自身、これまで自著や自作論文などで執筆した記述の中に、気がつかないうちに誤りをそのまま記してしまっていることがあるかも知れない。しかし、少なくとも自分の知識に自信がない場合は、調べたり聞いたりすることを怠らないつもりだ。また、「知ったかぶり」をしてしまわないように自分を戒めている。でないと、「本当は違う意味だったんだ」と気が付いたときには、自分の間違った解釈が一人歩きしてしまい、あわてて後始末をする羽目になる。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とは、まさに至言だ。
独立型ケアマネジャーの形態を採った場合、多くのサービス事業所とお付き合いができる。そうなると、同じ事業所の同じ人にあまり何度もいろいろと尋ねることは、その人、その事業所に借りを作ったり、弱みを見せたりするのではないか、と意識してしまうこともある。しかし、その気持ちが強過ぎると、「聞こうかな、やめておこうかな、・・・」と迷っているうちに、ついつい聞きそびれてしまうことにもなる。
私たちが業界ネットワークの中で仕事をしている以上、IPWを円滑に進めるためにも、専門外のことについて相談できる良き仲間を作っていくことは、たいへん重要なことだ。職種や業種が違えば、いわば「餅は餅屋」で、その人個人の資格や所属施設の事業形態によって、該博な分野があるもの。相手に依存してばかりいるのはもちろん禁物だが、互いに相手が詳しい分野の情報について聞き合い、教え合うことは、有益なネットワークを構築していくためにも大切な要素であろう。結果的に自分の引き出しを広げることにもなる。
独立型ケアマネジャーこそ、「聞くは一時の恥と言いますが・・・」と切り出して、わからないことを遠慮せずに、その道の専門職に対してどんどん聞く姿勢がほしい。それが可能な環境を作っていくことが、取りも直さず独立型のスタイルを軌道に乗せることなのだ。
(拙著『口のきき方で介護を変える!』をお持ちの方は、140~143頁も参照されたい)
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