初心に帰って
2014年もあと二日余りを残すのみとなった。
この時期になると、メディアでは「この一年を振り返る」企画が目白押しだ。またネット上でも、みなさんそれぞれが、個人史の中のこの一年を、さまざまな思いで振り返っておられることであろう。
私は、カトリック浜松教会に所属する信徒である。しかし、今年になって教会へ行った回数を数えると、神の母聖マリアの祝日(元日)、復活徹夜祭、聖母マリアの被昇天(8月15日)、クリスマスと、たった四回である。行けない事情は仕事や家事などに起因していて単純なものではないが、個人的にイエス‐キリストへの信仰が薄くなっているとは感じていない。毎日、主の祈りとアヴェ‐マリアとを唱えているし、困難に突き当たったとき、必ずキリストが手を差し伸べてくださると信じている。
しかし、カトリックは共同体を基盤に置く教会である。個人が神を信じ、キリストを信じるだけで十分だとはしていない。もし教会のミサで他の信者たちと交流する機会が乏しいのであれば、別の方法でそれを補わなければならない。私はMAF Hamamatsu(浜松外国人医療援助会)のメンバーであるから、その会合などで久保田君枝さん(MAF副会長)や山城ロベルトくん(MAF事務局長)など、何人かの信徒の方々と交流しているが、最近はこのボランティア団体のメイン企画が終了したことにより、会合もまれになっている。
そこで、私が活用しているのがFacebook(以下、FB)である。SNSを活用して共同体の友である方々と交流しながら、霊性を高めるべく努める。インターネットの最も望ましい使い方ではないだろうか。
昨年秋、FBにアカウント登録した直後、三人目か四人目かで友達申請をくださったのが、以前から交流があった橋本正士さんである。橋本さんは私より2~3年遅く徳島県で社会福祉士・ケアマネジャーを開業され、現在も居宅介護支援や成年後見を続け、筋を通した真摯な仕事のスタイルで、息の長い活動をされている。
その後は、だいぶ前にFBへ誘ってくださった埼玉県の浅川善弘さん(未対面。社会福祉士)や、前の所属教会でお付き合いがあった京都府在住の中村晴信さん(画家)ともFBでの交流が始まった。浅川さんは教会史に該博な方で、私が詳しくない部門についても的確な知見を分けてくださる方だ。中村さんの絵は人の心を和ませる風景画がおもなもので、氏の優しさがにじみ出ている作品が多い。
〔※追記;その後、浅川さんとは事情があってFB友達関係を解消している〕
そして、この一年、最も強いインパクトをいただいたのは、やはり丹後の稲岡錠二さんからであろう。稲岡さんに関しては、先に「無いからこそ、創る」のエントリーで詳しくご紹介したが、氏の活動力と友愛精神には脱帽するしかない。この厳しい時代の中で、私たちの行く手を照らす世の光と言うべきであり、業界仲間としてのみならず、信仰面でも良き模範とさせていただくに足る人物だ。稲岡さんとの出会いは、キリストに近い道を踏み外さないために私たちはどうあるべきか、との命題について、貴重な示唆を与えてくれた。
自分が受洗したのは学生のときなので、すでに31年になる。あのときの感動を忘れないようにしたいと思う。
夏には音楽講師の後藤京子さん、そしてクリスマスには歌舞伎役者の市川澤路さん(未対面)とも、FBを通してつながることができた。偶然だが、お二人ともそれぞれ、新垣壬敏先生(私が洗礼を受けた東京の関口教会で聖歌隊を指導されていた)やそのご家族とお付き合いがあるとのこと。これも私に「初心に帰れ」という啓示なのだろうか。
中村さんもそうだが、文化・芸術系の方々との交流は、介護・福祉系とは別の視点から生活を省みる機会になり、良き学びとなっている。
また、稲岡さん、後藤さん、市川さんはラーメンで結ばれた同好の士でもある。いつか四人でラーメンを楽しみながら、信仰の分かち合いをする機会が来るかも知れない。
年の瀬に、信仰生活を振り返ってみた。
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