ケアマネジャーの品格
きょう、介護支援専門員専門研修Ⅱを修了した。資格の更新研修も兼ねたものだ。
本来、介護支援専門員(ケアマネジャー)証の更新は2018(平成30)年3月であるから、まだ2年以上早い。しかし、私の母親の体力低下が顕著になり、もし介護を必要とする状態になると、私一人しか介護する者がいない。将来、不測の事態により一部科目を受講できなくなったり、浜松周辺に釘付けになったりしてしまう(更新研修会場は静岡市)リスクも見込んで、早目の受講に踏み切った。
ただ、昨日と本日、演習の二日間は、演習指導者、一般的に言うとファシリテーターも務めた。もちろん、あくまでも「受講者」なのだから交通費は自分持ちだが、おかげでグループワークにおいては、自分の所属するグループに拘束されるのではなく、ファシリとして会場を周回しながら、多くのグループの成果を学び取る機会に恵まれた。ありがたい話である。
全国的にはもちろん、静岡県内でさえ全く無名のケアマネジャーさんの仕事であっても、利用者の隠れた思いに寄り添ったサービス担当者会議の進行、強みを引き出す(アローチャートで検証するとピタリとツボにはまる)ケアプランの作成など、これこそ「人を活かす」ケアマネジャーの「品格」だよ!と、うならせるような「作品」に接することができた。こういう分かち合いに参加できたうれしさは格別だ。疲れを吹き飛ばすような快い余韻が残る。
ところが、このようなすばらしい人たちとは正反対で、知名度が高いのに、現場ケアマネジャーの風上にも置けない人間がいる。
昨日、Facebook上で起こったことに触れてみたい。
登場人物をAさん(30代前半の介護職員)、Bさん(私と同い年の介護福祉施設長。業界では著名人)、Cさん(40代はじめのもと介護職員。いまは会社員)、Dさん(私と同い年の独立型社会福祉士兼ケアマネジャー。Aさんと同じ県の人)、としておこう。
Aさんが自分のウォール(「壁」の意味だが、Facebookに登録したアカウントの、いわば自分が使用できるページ)で、Bさんのブログをシェアして紹介した。そのブログの内容は、介護従事者が単に利用者に対する暴言をやめるだけでなく、タメ口などの利用者を軽んじた言葉を使わないように心掛けないといけない、自分たちは達人ではないのだから、と、Bさん自身を含めた業界全体を振り返る内容である。
Aさんは自分のウォールで、このBさんのブログから教えていただいたと謙虚に述べ、おかしいことはおかしいと言わなければならないが、まだまだ(同僚や同業者に)伝え切れていない自分自身への、自戒を込めてシェアすると語っている。
ところが、DさんがAさんのエントリーを突っついて、Bさんについて、「まるで教祖か家元であるかの様な、嫌悪すべき振る舞い」だとコメントしたのだ。
そのコメントを見て、私も一応、引用されたBさんのブログ記事を確認してみたが、どこからどう読んでも、業界人たちの振り返りと戒めを促した内容でしかない。もちろんAさんもそう理解したからこそ、敬意を込めてエントリーしているのだ。Dさんのコメントは誹謗中傷としか受け取ることができない。
これを見て激怒したCさんが、コメントでDさんを批判しているのみならず、Cさん自身のブログで、Dさんを「クズ野郎」「極めて非礼」などと、口を極めて罵倒した。
当然だ。DさんがBさんを批判したければ、自分の土俵かBさんの土俵で堂々とやれば良い。ところが、DさんはAさんのウォール内でBさんを誹謗するときに、わざわざAさんの名前の一文字に「不」をつけた言葉を使っているのだ。品性のカケラもない。BさんもDさんに対し、「自分こそ何さまだ。恥を知れ」とコメントを返している。Aさんの心情を慮った反応として、妥当であろう。
Dさんは、私がいまエントリーを書いている時点で、この件に関して何の謝罪もしていない。氏は福祉業界ではそれなりに知名度が高く(ときに全国区でもあり)、地域の中核の一人として要職を歴任してきた人だ。自分も以前は知り合いであり、氏への信頼度も高かったが、その後、とある事案(それも、Dさんが自分の過ちを認めなかった件なのだ)を契機に疎遠になり、現在は音信不通状態である。氏は他にも誤解を招く発言で周囲の物議を醸しているようだが、今回は誤解で済む話ではなかろう。
そもそもこのように「人を傷つける」人物が、「人を活かす」べきケアマネジャー、社会福祉士としてふさわしいのか、根本的な疑問を持たざるを得ない。この程度の人物に重い役職を頼まなければならないほど、介護・福祉業界は人材不足なのか? いや。決してそうではないことは、前述した専門・更新研修の段に登場しているような、真に品格のあるケアマネジャーがあちこちに存在することから明らかである。
Dさんが自身(家庭)の諸事情もあったようで、歌を忘れたカナリアになってしまった面もあろう。「古き佳き時代」の福祉職員にはときどき聞く話だ。もちろん、いまはCさんから「クズ野郎」と言われてもしかたがない状況であっても、Dさんが将来、真摯にAさんやBさんに謝罪し、行動変容すれば、私も連携を拒むものではないことも、書き添えておく。
このDさんの非礼に対し、Aさんが決して激昂せず、紳士的な態度のコメントで応接したことは、特筆しておきたい。私自身も大いに学ぶべき点だ。
Aさんのような理性を統御できる若い人たちは、次の時代を担う介護業界の宝である。これから精進を続けて、さらに品格を磨いていただきたいと、心から願っている。
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