上司や上位者をどう呼ぶか?
みなさんの勤務先や所属組織で、通常、すべての構成員が完全にフラットということはないと思う。上司-部下、あるいは職位や席次の上位-下位の差がどこかに存在する。
そのような中、部下や下位の人が、上司や上位の人をどう呼んでいるだろうか? 肩書で呼ぶのか、それとも「○○さん」なのか・・・。
先日、FBの友達になっている方々に、こんなことを問いかけてみたところ、多くの方々が回答を寄せてくださった。
まず、介護サービス関係の組織(施設とか事業所とか)では、肩書で呼ぶほうが一般的である。「事務長」「課長」といった具合だ。私的に呼ぶ場合には「○○さん」だというところや、状況によって使い分けるというところもあったが、外部の人の前では、多くの組織が上司・上位者を肩書で呼んでいるという回答結果だった。
仕事をして業務上の対価を得る組織であれば、対外的に責任を持つための秩序も大切であるから、肩書で呼ぶべきだとの通念もいまだに強いことが窺える。ただ、それが慣例になっているから、職場によっては、肩書で呼ばれないと機嫌を悪くする上司もいるらしい。もちろん、多くの職場では、そうしながらも互いの雰囲気が堅苦しくならないように努めていることであろう。
また、NPOなどの互助、共助的な組織では、「○○さん」のほうが主流のようだ。もともと同格の仲間が集まって組織を結成しているとの性格も強く、対等な立場でのパートナーシップを心掛けている点もあろう。肩書がかえって役職依存を誘発するというご意見もあった。
そのほかのご意見としては、人として付き合うのであれば「○○さん」のほうが望ましい、昇進するとは限らないから肩書だと呼びにくくなる場合がある、呼び方を規律化するのは時代遅れでは、などなど。
このようにさまざまなご意見をいただき、私もたいへん参考になった。
仕事そのものに当たらない業界団体や、仕事を離れた趣味活動組織などでは、肩書で呼ぶとフランクなお付き合いができないので、「○○さん」が一般的になる。民主的な組織では自然な流れと言えよう。
しかし、ひとたび仕事となると、以前も述べた「言霊」の影響から、職場の上司や上位者は名前で呼ぶのを回避するという、日本人のメンタリティが根強いことも確かだ。だから、日本では名字で呼ぶことさえ抵抗を感じる雰囲気のところが少なくない。欧米では当たり前であるファーストネームでの呼称も、日本社会で浸透していくのは遠い先のことかも知れない。
大きな企業でも、時代の流れとの考えから、「○○さん」を奨励しているところがある。ただし、それを一部門だけで推進してしまうと、かえってトラブルの元になる。他の部門では「課長」と呼ばれていた人が、異動するや否や「○○さん」になってしまえば、当惑するのは当然だ。実践するのなら全組織で合意のもとに推進することが望ましいだろう。
ちなみに、FBにおいて私は、特定の団体構成員に限った組織を除き、他の方を「○○さん」と呼ぶことで統一している(もちろん、個別のメッセージやメールでは、宛先の相手次第で「先生」など適宜呼び方は変えている)。SNSは個人と個人との対等な交流の場であるから、肩書はそれを妨げるものというのが私の意見だ。
また、「先生」と「先生でない人」など、どこで線を引くか苦慮することもあり、過剰な配慮が面倒になるかも知れないからだ。カトリック教会の最高教父であるローマ教皇様に言及するときも、「フランシスコさん(=教皇聖下)」と、注記した上で「さん」付けすることになろう。信者でない人から見れば、ただの一外国人(国家元首と同等ではあるが)でしかないのだから。
FBで業界団体の役職にある人を、その下位にある複数の構成員たちが、当たり前のように肩書(または名字+肩書)で呼んでいるのを見ると、正直、何とも堅苦しく感じる。SNSぐらいは裃を脱げば?と思ってしまう。もちろん呼ぶ側の考え方なので、呼ばれた当人に問題があるわけではないのだが。
上司や上位者の呼び方一つ取っても、なかなか奥が深いようだ。今後、これも研究の題材になりそうである。
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粟倉先生、こんにちは(*^-^*)
誰をどう呼ぶか、みんな少なからず
悩みながら決めているんでしょうね。
私も今のように、粟倉先生と呼ばせて
いただく前までは、粟倉さんと呼んでいました。
しかし その後、粟倉先生の著書を購入したことで、
私にとっては、学んでいる本の著者なのですから、
先生と呼ばせていただくようになりました。
相手の立場や地位を踏まえたうえで、不快感を
与えないよう 気を付けることはもちろんですが、同時に、
自分との関係性によって 受け入れやすい呼び方がある
と思うので、私はそこも意識して決めるようにしています。
話しは変わりますが、歴史上のマイナー王朝( 2 ) の
アップ、ありがとうございます☆前回、中国史の記事を
読んだのをきっかけに、三国志を見るようになりました。
中国制作のドラマシリーズで、50巻近くある大作です。
なにぶん、中国史を読む込むようなインテリジェンス
ではないので、色々脚色されている三国志であれば、
私の頭でも 少しは理解できるかなぁと思いまして(;^ω^)
まだ全体の2割ほどしか見ていませんが、すごく面白い!
これで秋の夜長を楽しめそうです。ありがとうございました。
投稿: 中山さと子 | 2015年9月24日 (木) 15時45分
中山さん、
私は先生と呼ばれる者ではありません^^; 「さん」で結構ですよ^^*
確かに、相手の呼び方は最終的に自分自身が決めれば良いですし、
不自然にならなければ、枠にはめることもないと思いますね。
また、文化的な学習はドラマから入ったほうが身に着くかも知れません。
ちなみに、いま私がCSから録画して視ているのは、「名探偵ポワロ」です。
戦間期ヨーロッパの風俗が窺えて、なかなか面白いです。
投稿: じょあん | 2015年9月25日 (金) 00時01分