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2015年11月 8日 (日)

多様性の街

浜松に長く住んでいて(0~9歳は磐田、19~24歳は東京)、この街(中山間地などを除く、旧浜松市街と郊外との範囲内を意識しているので、あえてこの字を使う)の性格について、あまりまとまって考える機会がなかったが、来客に街中をちょっと案内したのを機会に、自分たちの住む浜松について振り返ってみた。

浜松と言えばとかく、「やらまいか精神」に象徴される進取の気性と、長いものには巻かれろ式の保守性との、二面性で語られてきた面が強い。いまでもそれは根強く残っているが、ここ30年ほどは、かなり様変わりしていることも確かだ。時代の移ろいとともに、新たな浜松が形成されている。

これを一言で表現すれば、「多様性の街」ということになろう。

数多く存在する市民活動についても、その成員の社会的階層はさまざまである。医師や弁護士、企業経営者のような地位のある人たちから、アパート住まいで日常生活に追われている平凡な庶民まで、幅広い層の人たちが携わっている。

国籍も多様だ。日本人のみならず、コリアン(韓国・北朝鮮)、ブラジル人、ペルー人、中国人、フィリピン人など、多種多様な人たちがまちづくりに参加している。定住ビザや永住ビザなどを持つ外国人を中心にまとまりを保っているコミュニティは、浜松の市民活動の一翼を担って主体的に参画している。ブラジル・ペルー・中国の人たちが、深夜にボランティア活動をして日本人のホームレスにお弁当や毛布を配ったり、困りごとを聞いていた時期もある。

私が長く携わってきた浜松外国人医療援助会(MAF Hamamatsu)でも、上記のようなバラエティに富んだ人たちが協働しながら、活動を展開している。政治的にも多様であり、次世代の党の支持者から、社民党や共産党の支持者まで、考え方の差異が大きい人たちが、地域にとって必要な活動だとの認識で、協力して作業をしている。

つまり、多くの浜松住民は国籍やイデオロギーに関係なく、大切なことについては手を差し伸べ、力を合わせるのである。

もちろん浜松にも排他的な、あるいは排外的な考え方の人はいるし、場面によってはそのような人たちの主張が通ることもあるが、少数派として浮き上がったものになりがちで、主流とはなり得ない。ヘイトスピーチやゼノフォビアの大合唱が起こることも、イデオロギーの対立から暴力的な抗争が起こることも、(ゼロとは言えないが)まずあり得ない。

そしてまた、そのような排他的、排外的な主張に対しても、それが特定の個人や集団に不当な不利益や差別をもたらすものでない限り、多くの浜松住民は一つの考え方として許容し、共存することを模索する(常にうまくいくとは限らないが)。非難・攻撃して黙らせるようなことはしないのだ。これもまた浜松の特性かも知れない。

総体的に見れば、浜松では自分たちだけの主張をしていると、生きにくいことは間違いない。現実には多種多様な人たちが共生しているのだから、否応なくパートナーシップを築かなければならない場面にしばしば遭遇する。立場こそ違え、同じく浜松の産業・経済・文化に寄与している市民として、協働しなければ生きていけない。これまで排他的な考え方を持っていた人が、協働を機に変容することもある。

私自身について言えば、自分は改憲論・防衛力強化論者であるが、九条護憲論者の人と気安くお付き合いして、もののやりとりをしている。市民活動でも一緒に働いている。浜松に在住する南米の人たちと酒席を共にしたことも何度かある。中国人やインド人が経営するレストランで、ときどき好んで食事をしている。教会でヴェトナムや韓国出身の知人と会えば立ち話をする。立場の隔たりがある人たちに仕事を頼み、逆に頼まれることもある。そのようなことは日常生活の中の、フツーの一コマである。

浜松のまちづくりに関しては、面積が広くなり過ぎて小回りが利く行政経営ができていないとの声がしばしば聞かれる。確かに都市計画については後進的な面があり、広域対応が後手に回るなど、課題も山積しているかも知れない。しかし、少なくとも「多様性の街」という面に関しては、グローバリゼーションの中で、一つの望ましいモデルになりつつあるように思う。

自分の愛する街をより良くするために、微力ながら自分にできることを続けていきたい。

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