地方史を読む
最近は全く増えていないが、私の自宅には結構な数量の蔵書がある。自分の趣味関係で、歴史ものが圧倒的に多い。ただし、カトリック教会に関するものを含め、古代から近世にかけてのものが大部分で、近現代史に関する蔵書は少ない。
国史では中世・近世大名の家や藩に関するものが多い。カテゴリーで分類すれば「地方史」ということになる。藩主や補佐役などの人物伝を中心に、その種の書籍が書棚に埋まっている。
家(藩)別に分類すると、多い順に下記のようになる。史料・研究書(単行本・新書等)・論説・随筆等の一般書をすべて含めた数字である。上中下など分冊になっているものは、合わせて1冊と数えた。
(1)上杉家・米沢藩関係 9冊
(2)毛利家・長州藩関係 5冊
伊達家・仙台藩関係 5冊
(4)島津家・薩摩藩関係 4冊
(5)佐竹家・秋田藩関係 3冊
保科松平家・会津藩関係 3冊
その他は2冊以下である。なお、一大名ではないが、徳川一門関係は上記の保科松平家を含め、全部合わせると20冊近くになる。また、足利一門(細川・最上等は除く)関係は、江戸時代の喜連川家について書いたものまで含めると3冊あるので、「同率5位」となる。
上杉家関係が多いのは、私が上杉鷹山(=治憲。1751-1822)を尊敬しており、関連書籍を多く求めたことによるものだ。個人的には直江兼続も好きな人物の一人である。
伊達・毛利・島津・佐竹は、戦国時代の有力大名、江戸時代の外様大藩である。それぞれ織田・豊臣・徳川のいずれかの政権によって身代の縮小を余儀なくされながら、近世大名として脱皮して地方文化を花開かせた。その歴史の中では、重臣群の入れ替えがあり、お家騒動の克服があり、財政再建があり、いくつもの難局に遭遇しながら、どの藩も大所帯を切り盛りして江戸期を生き抜いてきたのである。
私たちはこのような歴史を鑑としながら、現代の地方自治体や各業界のあり方を考えていく必要があろう。時代によってスタイルは異なっても、人が行うまつりごとに違いはない。当時の人たちの知恵には学ぶべきであろうし、応用できる手法は決して少なくないからだ。
また、人物の評伝を比較参照しながら読みたい方には、故・海音寺潮五郎や井沢元彦氏などの、洞察力に優れた作家が書いたノンフィクションをお勧めしたい。
最近のコメント