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2016年5月

2016年5月18日 (水)

「懐疑」のすすめ

「懐疑」と言えば、アカデミックな用語に聞こえるかも知れない。だが、ここで述べる内容はきわめて単純なことだ。

みなさんも数の多少はあれ、何かを間違えて理解していたという経験をお持ちだと思う。私も相当な年齢になるまで、誤解したまま放置していたことがある。

「あぶない」という言葉が、英語由来だとばかり思っていたのだ。

危険が迫って猶予がならない状況に出くわして、とっさに「あぶない!」と言えば、英語でもほぼ同様な意味で通じる。「Have an eye !」=「片目でもいいからしっかり見ろ!」←「危険だ!」というフレーズの発音と、ほぼ同じ発音に聞こえるからである。

おそらく、私は幼少時に何かの本を読むか、TVを見るか、何らかの媒体からこの「Have an eye !」についての説明を聞いて、「あぶない」が英語由来の言葉だと、てっきり思い込んでいたものと推測される。

事実は、日本語にも古くから「あぶなし」という単語がある。かつては「軽率に行動して他人に迷惑をかけそうだ」の意味が強く、むしろ、「あやふし」のほうが現代語の「あぶない」に近かったが、中世以降は統合されて「危険が見込まれるので心配だ」の意味になった。

れっきとした日本語の形容詞である以上、危急の際に間投詞的に使用される「あぶない!」が、英語の「Have an eye !」と同様な意味であるのは、単なる偶然以外の何ものでもないわけである。

しかし、私がガキの頃から「あぶない」は英語だと思い込んでいた理由は、以下のいずれかであろう。

(1)幼少時に受信した説明が間違っていた。すなわち、発信側に問題があった。

(2)幼少時に受信した説明は正しくなされていたが、私が誤解していた。その誤解の原因は、たとえばTVなら番組を一部しか見ていない、本なら前後の説明をきっちり読んでいないなど、さまざまなものが考えられるが、いずれにせよ、受信した私の側に問題があった。

(3)上記二つの相互作用。発信側も(単なる物知らずによるものか、または特別な意図によるものか)十分な説明をせず、受信側の私も自分で調べていなかった。

以上の三つの可能性が考えられる。

これらの誤謬を補正していく力が、大人の「知的体力」である。『これでいいのか?日本の介護』第7章や第12章でも述べたが、特に日本人の多くは、情報を受動的に疑わないまま獲得し、それに流されてしまう傾向がある。自ら主体的に情報を獲得・精査していく、また一度獲得した情報も真正なものであるかを確認していく癖をつけないと、知的体力の不足を招き、ひいては社会全体に致命傷をもたらす。言葉一つぐらいのことなら大した問題ではないのだが、大きな社会事象や政治・経済などに関わる誤解が積み重なり、それがまた多くの国民に共有されてしまうと、まさに日本を「あぶなく」してしまうのだ。

そのためにも、私たちは「自分の理解・思考・行動はこれでいいのか?」と、常に疑っていく姿勢が求められる。すなわち「懐疑」である。たとえば前述の例で、もし発信者が「英語がすべての言語に優越する」などの偏った思想を持っていたのであれば、「あぶない」が英語由来だとの説明を聞いた人は、すべてその罠にはまってしまう恐れがあることになる。

言語学のみならず、社会の各分野にそれは当てはまる。もちろん「介護」もしかり。意図的な発信に限らずとも、たとえば30年前の介護の常識のうちかなりの部分が、いまや常識では無くなっている現実があるのは、経歴の長い業界人であれば当たり前に感じているところであろう。にもかかわらず、30年前の常識をそのまま踏襲して現場で仕事をしている業界人が、少数とは言え存在することは、残念ながらまぎれもない現実である。

自分自身を成長させ、時代を動かしていくためにも、みなさんに「懐疑」の精神をお勧めしたい。

2016年5月 5日 (木)

浜松のラーメン店(3)

ここ数か月、市内のいろいろな方面で新たなラーメン店を食べ歩くなど、少し見聞を広げた形だが、自分の中でのベスト‐テンがおおむね固まった。

全くの独断と偏見なので、異論・反論がいっぱい寄せられるかも知れないが、まずは以下に掲げてみよう。

1.「だるま」の濃厚鶏白湯。事務所から近く、歩いても20分。他にもいくつかの店で鶏白湯や鶏そばを食べてみたが、結局はここがイチ押しの評価。魚介類をじっくり煮込んだトロミのあるスープが絶妙で、麺は(硬さが選べる!)バリカタぐらいがちょうど好く合っている。鶏のあぶりチャーシューも味わいがあり、すっかりリピーターになってしまった。なお、味とは関係ないが、店主のご幼少のときの写真が他の店(→五味八珍)で見られるのも面白い。

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2.「蔵前家」の豚骨醤油。細江町の南端にあって事務所からは遠いので、休日に行くのだが、行列に並ぶことが多い。横浜家系の正統派を自任している店で、太麺の湯切りは平ザルで丁寧に。鶏油の加減は絶妙で、しかも食べ終わる頃には普通の豚骨醤油ぐらいになるため、くど過ぎない食感。店主や従業員の掛け声が抑制されているので、落ち着いて食事ができるところも、好印象。

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3.「まいど」の煮干しブラック。柳通りのラーメン激戦区から東へ行くと、少し外れたところにこの店が存在。ブラックのスープや低加水麺の美味しさはもちろんだが、煮干しの強さが出過ぎておらず、総体としてバランスの取れた醤油味を作り出している。

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4.「細麺三太」の醤油(醤油豚骨)。有楽街のラーメン激戦区にあるが、このスープに細麺が実に好く合っているので、周辺でも一番人気。昼食時には若者たちが絶えず出入りする店だ。

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5.「おえかき」のふわまる塩。浜北区と天竜区との境目辺りにあるが、太麺の歯応え、泡立ちスープのフワフワ感、大切りのメンマなどは、また来たいと思わせる味覚。私にとってはやや遠いのが難。

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6.「はやたろう」の黒旨(黒豚骨)。信州駒ヶ根出身の店主が浜松で起業したベンチャー。「白旨」と並ぶ人気商品で、コラーゲンが豊かな味だ。

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7.「土蔵(どら)」のやみつき醤油(前出)

8.「ワンタン軒」のワンタン麺(前出)

9.「来々軒」の伊賀忍玉(=豚骨醤油)。自宅から近いので、日曜日にときどき食べに行っている。

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10.「錦華楼」のごまみそ(=担々麺。前出)

惜しくも?次点になったのが、「天日地鶏」の塩ラーメン、「一番星」の五目塩、「浜田山」の魚介豚骨、「一凛」のしょうゆラーメン、「みちの」の味噌バターコーン、「五味八珍」のつけめん(+浜松餃子)あたりであろう。いくつも出てきてしまったが、まあどれも「同列11位」ということでご勘弁を...(^^;

浜松に本拠を置かないチェーン店やフランチャイズ店は含まれていない。いわば地元浜松のラーメンだけを自分流にランキングしたものだ。三河の丸源、袋井のめん虎や破天荒なども含めれば、「地元の味」はもっと広がるのかも知れないが。

もちろん、名前を聞いていてもなかなか入る機会のない店など、浜松でも未体験の店がたくさんある。読者のほうから「ここが好いよ!」というお薦めの店があったら、ぜひ教えていただきたい。

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