自治体附属機関等の委員会に出席して(1)
この3月末で、浜松市介護支援専門員連絡協議会の会長職を退任することとなった。
はじめは、状況がよく呑み込めないまま、1999年に市当局から「浜松市介護支援専門員代表者委員会」の委員として招集され、翌2000年に連絡協議会が発足したときに副会長、2009年から会長と、役員を通算18年間の長きにわたって務めたことになる。折しもこの1月末から母の介護で多忙になった直後であり、降板にはちょうど良い時期であったと思う。
また、6月には(特活)静岡県介護支援専門員協会の役員改選が予定されており、今期を限りに同会の副会長職を退任する。浜松市の役を兼ねながら、こちらも8年間務めることができた。
両職とも、在任中に数多くの方々からご協力、ご支援をいただいた。退任にあたり、心からお礼を申し上げたい。
さて、これらの役職にあることによる「充て職」ではあるが、浜松市や静岡県の介護支援専門員を代表して、いくつかの自治体附属機関等の委員会に列席することができた。市や県の直営であるもの、業界団体や職能団体等に委託されているものの違いはあるが、いずれも公的な会議との位置付けである。
それらの会議に出席しての感想を、4回に分けて述べてみたいと思う。
まず一回目は、お金の話である。
市や県の委員会は、行政施策やそれに基づく事業を適正に遂行するために、有識者や業界関係者が事業の具体的な内容について協議し、妥当性を判断して意見を述べるものだ。したがって、本来ならば、各々の事業にはどの財源からいくらの予算が使われるのか、各委員が理解した上で、協議に入らなければならない。
ところが、このお金の流れが意外と見えてこない。
事業に関する予算や決算の類は、当局から一応示されるものの、それが厚生労働省の示す構図のどの部分に相当し、どれだけの規模の会計になっているのか、書類を見ただけではすぐ理解できない。身近な自治体に事業の実施主体を落としてからの現実はどうなのか、読み取るのが難しい。
たとえば、市の医療及び介護連携連絡会であれば、地域支援事業の予算があり、その中の包括的支援事業の予算があって、そこから医療・介護連携にどの程度の金額が割かれるのか、との提示があったところで、はじめて、どのような規模の事業が可能なのか、もし必要なお金がそれでは足りないのであれば、他の一般財源等から別途上乗せしてもらわなければならないのか、等の議論が可能になる。
しかし、実際にはその流れが示されていない。
せっかくこの種の委員会に各職能団体や業界団体の代表者が出席しているのに、肝心な数字が見えない状況では、踏み込んだ議論がなかなかできないのだ。
県レベルの委員会では、ほとんどの会議で予算や決算が示されるが、全体のパイの大きさと使える額との関係はわかりにくく、医師会などの委員から突っ込んだ指摘を受けて、担当課長が何とか答弁したところで、おぼろげながら流れが見えてくるのが正直なところである。これは決して望ましい状況とは言えない。事業の体裁を整える員数揃えの委員会にならないためにも、各委員が理解できるように、お金の流れを明瞭に示すことは大切である。
これは、財源に関する関係者の意識の問題もあるだろう。行政に限らず、たとえば県介護支援専門員協会の理事会でも、自団体の財政について踏み込んだ議論をする機会に乏しく、事務局任せになりがちである。保健・医療・福祉の関係団体側は、もっとお金の流れについて関心を持つべきであろう。
介護に携わる私たち専門職は、市民・県民や自分たち自身のためにも、財政をよく理解し、必要な経費は積極的に働きかけて公的な財源から獲得していくことが大切だ。そして、それを公益に資するために活用していく姿勢が求められるのである。
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