特別講演を終えて
去る10日(土)、特定非営利活動法人・静岡県介護支援専門員協会の総会があり、4期8年間在任した副会長を退任することとなった。
「老害」と謗られる(?)前に引っ込もうと思い、いささか遅きに失した感はあるが、職能団体での役割に、ひとまず区切りをつけた形である。後半の三年間は、母の体調変動により、いささかの無理をしながらの在任であり、特に最後の四か月は介護に追われながらの日々で、満足に職務を遂行できなかった。ご迷惑を掛けた関係者の方々には、なにとぞご寛恕いただきたい。
続いて、総会終了後に「特別講演会」と題して、講話をさせていただく機会を得られたのは、ありがたいことであった。
タイトルは「ケアマネジャーの可能性 -制度の中の仕事と制度の外でできること-」。
前半では、2018(平成30)年度医療・介護同時改定はもちろん、2021(平成33)年度改定で起こりそうなことまで大胆に予測する流れで、県内の介護支援専門員や県ケアマネ協会を鼓舞する一方、「副会長」の肩書では言いにくかった政策側や職能団体等への体制批判的な見解も、一会員の立場でしゃべらせていただいた。
後半で伝えたかったのは、制度上の「介護支援専門員」に限らなくても、ケアマネジャーの職能でできる仕事はいくつも存在すること。障害者相談支援、認知症サポート、コミュニティソーシャルワーク、民間保険、産業(介護離職防止)ケアマネジメント、成年後見制度関連業務、外部評価、外国人人材活用など、ケアマネジャーが経験知や技術を活かすことができる場を紹介し、制度の枠だけに捉われずに職能を生かしてほしいと訴えた。
もちろん、これらのすべての分野について、ケアマネジャーが占有できるわけではない。中には、「ケアマネジメント」の領域に隣接かつ一部重複する「ソーシャルワーク」の領域に及ぶ分野もあり、本来ならそれらの分野については両者の相互関係を整理して説明するのが望ましかったのだが、時間の関係で話を端折らざるを得なかった。聴講者にはいささかわかりにくかったかも知れない。
最後に、結びとして呼びかけたのは、ケアマネジャーには、共通する職業倫理や行動規範があり、利用者の代弁、人間の尊厳、公益、連帯、たゆまぬ研鑽を旨としてほしいこと。
そして、ケアマネジャーがどのような形態で仕事をしようが、専門職としての誇りを持ち、人頼みでなく自分から行動し、積み上げた実績を信じて前進してほしいことを述べ、いつかは民意が世を理想に近づけるのだから、希望を捨てないでほしい、と締め括った。
私自身、介護者でもあるため、これから人前で話をする機会も限られてくるであろう。数少ない「本音で話す」論者の意見として、県内のケアマネジャーのみなさんが受け止め、何らかの参考にしていただければ幸いである。
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