17年目の航海へ
親の介護を抱えると、離職しないまでも情報弱者になりかねない状況になるのだが、逆にそういうときこそ、人寄せをして孤立化を回避すべきであろう。
昨日は、2001年8月17日に「ジョアン」の看板を掲げて開業してから、満16年に当たる日なので、開業記念を口実に、浜松で一杯やろう会...との名目で、内輪の懇親会を企画してみた。
Facebook友達のうち、比較的距離感が近い三分の一ほどの方々、また当地のケアマネジャーでは、私とご一緒に市ケアマネ連絡協の役員を務めてくださった近しい方々を中心に、役員ではなくとも勉強熱心な方などにお声掛けした。しかし、お盆明けの多忙な時期であり、平日のたった二時間の飲み会ということもあって、来場してくださったのは浜松で半数程度、市外で一割程度にとどまった。それでも5道県から13人の方々が参加してくださったことには、心から感謝申し上げたい。
特に、ネット上では15年前からのお付き合いであり、6年前に作文教室の冊子を自費出版した際にはブログでPRいただき本当にお世話になった、介護福祉道場「あかい花」の菊地雅洋さん(前列、パネルの隣)は、折しも他用で浜松にご滞在中だったため、貴重なお時間を使ってこの会に出向いてくださった(むしろ、菊地さんがこの日に在浜されているので、平日の飲み会を敢行したと言うほうが正確だ(^^;)。また、過去のエントリーでも登場願った、私の「歴友」岡山の渡邊さん(後列、向かって左から四人目)と、協働で独立型居宅を運営されている秦野の松田さん(同、左から五人目)とは、昨年の15周年記念行事に続き、遠路をいとわず二年連続で駆け付けてくださった。
さて、当面の課題は、すでに各サイトが報じている通り、独立型、特に一人親方の介護支援専門員が、どこまで制度上の仕事を続けていくことができるかということになるが、これに関連して、参加者のお一人から眉を顰める情報が飛び込んできた。
とある地方で一人親方として居宅介護支援事業所を自営していた介護支援専門員が、複数の場面で不正行為を重ね、指定取り消しになったのである。それも、その地方ではそれなりの知名度もあり、複数の団体で役職も歴任していた人物なのだ。これによって、政策側や医療系団体から、「一人親方ケアマネは危ない」との論調が強まることが予想される。
実は、私自身も、一人親方ケアマネは危ないと思う。
こう言うと意外に感じる読者があるかも知れないが、真意は、「基盤が弱いところに立っている人間は、初心が崩れると倫理的にも心が弱くなる」...である。
当該人物も最初はコンプライアンスを意識しながら、事業所の運営を軌道に乗せようと努めたであろう。しかし、独立して公正中立を守ってケアマネジメントを展開しても、制度の動向や周囲の情勢は、好転するどころか、どんどん悪化している。そのようなところで、倫理感覚を保つのがいかに難しいことか、何よりも16年間仕事を続けてきた私自身が実感している。当該人物は哀れにも転落して、さげすまれる存在になってしまったようだが、次は私自身がそうならないとも言い切れないのだ。
政策側が今後一人親方の介護支援専門員に求めてくるであろう「ネットワーク化」は、皮肉なことに、政策側が独立・中立の一人親方を報酬の上で評価してくれないところから、必要性が高まっていると、私は考えている。協業する仲間は、「病気や事故に遭ったとき」のために必要だと言うより、むしろ「倫理感覚を失いそうになったとき」のために必要なのだ。前者であれば、他の居宅介護支援事業所に利用者を委ねれば良いが、後者の場合は、公正中立や公益性などケアマネジャーとしての根本的なミッションが音を立てて崩れていくのである。
正直者がバカを見てはならない。しかし、正直者でいることがバカバカしくなる人は当然出てくるのだ。そのとき、「われわれは正直者でいこう!」と励まし合って、補い合える人がいるかいないか、それは今後の独立・中立型居宅、特に一人親方の動向を大きく左右するのではないか。
昨日の会で参加者と楽しく語らいながらも、この点を痛感した。
私の事業所は17年目に突入したが、この一年の最大の課題は、これから自分らしくケアマネジメントを展開していきたい地域の独立・中立型ケアマネジャーのために、協業しながら支え合う仲間を作っていくことであろうと感じている。
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