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2017年10月

2017年10月18日 (水)

輝いてください☆

浜松の、いや周辺の市町も加えて、静岡県西部地区の介護業界は、ある意味「大きな田舎」である。関東や関西、あるいはその他の地域で、当地より一歩も二歩も先んじたアクションが起こり、それが全国的に大きなうねりを作ろうとする形勢にあっても、なかなかそれらの動きについて行くことができない。

介護業界の括りにかかわらず、保健、医療、あるいは福祉の業界では、「やらまいか精神」で注目すべき活動をしている人たちが当地にも結構見受けられるのだが、なかなか「全国区」でのダイナミックなアクションに結び付いていると言い難いのは、寂しい限りである。

私も、かつてはブログや掲示板、あるいは同業のMLなどをきっかけに、全国各地を旅しながら業界の友人たちと交流させていただき、最近はFacebookの助けもあって、多くのすばらしい仲間とネットで結び付くことができたが、1月に母が要介護状態になってからこのかた、行動が制約され、なかなか自分から他県まで出かける機会を持てずにいた。

そこで、去る14日、他の用事も兼ねて東京へ一泊ツアーを敢行。数人の方にお声掛けしてディナーにお誘いしたのだが、ご用事で参加できなかった方もあり、新宿の「KICHIRI」で三人の方とテーブルを囲むことになった。

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相模原市在住の認知症介護指導者・認知症ケア専門士、阿部敦子さんは、「認知症ONLINE」のサイトで認知症介護小説『その人の世界』を執筆されている。家族側や支援者側から見た認知症の姿ではなく、徹底した利用者目線で一人ひとりに「何が起こっているのか?」を導き出そうとする短編小説の連作は、利用者本位の介護を究めようとするすばらしい試みだ。すでに29作まで紹介されている。

都内在住の管理栄養士、林裕子さんは、患者(利用者)本位の在宅医療で全国から注目されている、悠翔会在宅クリニック・在宅NSTチームに所属されている。他の医療職と協働して、「摂食」「栄養」「嚥下」などの側面から多くの人たちの在宅生活を支える、訪問栄養指導のスタッフのお一人である。一般にはまだまだ普及していない訪問管理栄養士としてのお仕事をされている。

奥平幹也さんは、以前のエントリー「人と会い、人と語り...(2)」にもご登場いただいた。その後、「ミライ塾」はNHKの番組でも取り上げられ、その取り組みが全国的に紹介されたこともあり、最近は各地を回るなどのご多忙な日々が続く。

実は阿部さんと林さんとは、FB上で私の「ダジャレ友達(正しくは「言葉遊びの友達」かな?)」でもあるのだが、お目にかかるのは今回が初めてであった。お会いしてお二人ともステキな女性であるとの認識を新たにしたことは、説明の要もないと思う(^^*

(なお、顔出しNGの方がおられたので、画像は料理のみである)

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阿部さんは、現在のところ本業の傍ら、短編小説をポランティアで執筆されている。奥平さんから、他の方のことはともかく、阿部さんの作品は対価を受けるだけの価値があると思うとのご意見があった。私も、せっかくの力作が悪用・盗用などされないように、著作権を守る手立てを講じるべきだと述べさせていただいた。阿部さんも今後の対応については考えるところがあったようだ。

個人的には、保健・医療・福祉に携わる方すべてに、ぜひ『その人の世界』を全編お読みいただきたいと思う。阿部さんにはさらに書き続けていただき、いずれこの小説が紙媒体で出版され、業界の教科書になることを期待したい。

奥平さんの「ミライ塾」塾生たちは、すでに三期目に入っている。この塾は介護の現場で働きながら奨学金を返済し、そのあとは一人ひとりに合った職業に就いて(もちろん、介護でも良いのだが)、社会に羽ばたいていくのが理想だ。しかし、しっかり足元固めをして独り立ちしようと研鑽を怠らない学生が多い一方で、中には若さゆえの気のゆるみや、社会人としての経験の浅い面が露呈してしまう学生もいる。現実には奥平さんがそれらの課題解決に向けてサポートしているとのお話があった。

学生のフォローアップは、学生の就労先法人→関連団体からの支援を受けているとは言え、奥平さんの過重負担が大きくなっているようだ。ミライ塾の取り組みが画期的なものであるだけに、長く続けられることを思えば、お一人に負担がかかる状況が軽減されることは大切である。学生の卒業までに社会人として磨き上げていくのがミライ塾の目指すところだ。今後はどこかの基金を活用するなどして、サポートしてくれる要員を確保できないものか。喫緊の課題になろう。

談話の中で、一般的に奨学金を返せない人が増えている事情は、就労してからの収入が伴わないなどシステム上の問題がないとは言えないが、本人の意識に係る要因が大きいとの議論もなされた。林さんもご自身の経験を踏まえ、借りたものは責任を持って計画的に返済すべきことを指摘された。私も同意見だ。

林さんからは、栄養士の給与が医療職の中ではいまだ低く抑えられている現状のお話があった。給与待遇面のみならず、一般的には管理栄養士が在宅訪問する場面は限られており、悠翔会さんのように在宅NSTを推進する医療機関は少数だ。栄養士さんたちが活躍することで、高齢者などの入院に至るリスクを減らし、医療、介護双方の社会保障費を抑制する効果もあるのだ。林さんも複数の業界誌などにお仕事での取り組みを投稿されているが、今後は市民啓発にも一層力を注ぐ必要があるかも知れない。

ちなみに、林さんはおもに電車を使って利用者さんを訪問されており、本当は自転車も併用したいらしい。私自身、ケアマネジャーとしての居宅訪問は徒歩やバス利用の割合が多いので、安易に車を使わないスタイルには共感できる。

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私から見れば一回り以上若い方々とのトークであったが、とても実りある時間であった。自分自身の生涯学習のためには、これからも年代に関係なく、価値のあるお仕事をしている方とは、親しく交流していきたいと考えている。

トークに付き合ってくださった方々(および、今回参加いただけなかった方々を含め)は、それぞれの分野で先駆的な方である。しかし、いまだ介護業界、保健・医療・福祉業界の中で、ふさわしい声価を得ていないというのが、私の正直な感想だ。ヒーローやヒロインを作ることが業界にとって良いという意味ではない。より多くの人たちに携わってほしい分野を開拓していく人、いわば牽引車のような人が、どの分野にも必要なのだ。その人たちがスポットライトを浴びることにより、協働する人たちが増え、私たちの業界、ひいては市民社会に大きく寄与することになるのだから。

阿部さん、林さん、奥平さん。もっともっと輝いてください☆ 及ばずながら、私もできる限り応援します!

2017年10月11日 (水)

研修で「話す側」になろう!

30代~40代前半の中堅どころに位置する介護業界仲間の動向をネットで眺めていると、「○○研修会」「△△学会」「□□講演会」といった場に出向いて、多くの知見を身に着けようと努めている人たちが多く見られる。日常業務が多忙な中で、時間や費用を確保して各種研修の場に出掛けているのには、たいへん敬服する。

しかし、このような研修に参加した記事を見ていて、残念になることもある。

それは、中堅どころで才能も力量も備えていると思われる人が、もっぱら「聴く側」「受講する側」に回っているのを、散見することだ。

もちろん、聴くこと、受講することの意義を過小評価しているのではない。ただ、講義・講演する側になれる、少なくともパネリストぐらいは務められる力のある人が、なかなかそのような役回りを担った話を聞かないと、どうしても気になってしまうのだ。

その原因は一人ひとり異なるので、それぞれがどんな状況で講師やパネリストにならないのかはわからない。「能ある鷹は爪を隠」して韜晦しているのか、遠慮深い性格でいつも出番を辞退しているのか、頭角を現しているのになかなか周囲が認めてくれないのか、勤務先などの制約によって表舞台に立つ機会を持てないのか。

私自身が宮仕えのとき、(決して有能だったわけではないのだが)鳴かず飛ばずだった理由は、この最後の項目に当てはまる。旧勤務先が常態的に職員の突出した行動を抑える傾向にあった。そのため、研修や企画の講師やパネリストとして声がかかるようになったのは、開業した40代になってからだ。

いまでこそ普通に講師業もこなしているが、40代初めにいくつかの団体からボツボツ呼んでもらえるようになった時期には、人前で話すだけでも心拍数が上がってしまい、なかなかまとまりの良い話をするのに難渋したことを記憶している。慣れるためにも、若いうちに講師やパネリストの場数を踏んだほうが良い。自分自身の経験からだが。

特に、主任介護支援専門員であれば、更新までの五年間に講義の一つや二つはこなすのが当たり前であるべきだ。所定の研修の企画・ファシリテーターとて参画するのならまだしも、年四回参加していれば主任更新が可能との要件は、もっぱら受動的な研修参加だけでも更新できるわけであるから、甘過ぎると言わざるを得ない。

ただし、地域によっては地域包括支援センターの受託法人が自法人の主任に講義枠を割り当てる「お手盛り」もあるようなので-そのような義務的な講義はあまり経験値にならないのだが-公的な研修の場で誰もが講義の機会を持てるわけではない。むしろ、(宮仕えか開業かを問わず)バックを持たない介護支援専門員が狭い地域の枠を超えて、所属都道府県内外の関係団体から講師として招いてもらえるレベルの力を持つことが望ましい。

介護福祉士などの現場介護職員、特にリーダーの立場にある人たちも、講師やパネリストとして登壇する機会を持つことが、自分自身の知見・研鑽・実践を言語化して披露する好機となるだろう。

中堅どころの業界仲間たちが、「話す側」「講義をする側」になる場面を増やすことにより、さらに活き活きと良い仕事をしてくれることを願っている。

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