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2018年6月13日 (水)

AIとケアマネジメント(2)

前回より続く)

したがって、私たちケアマネジャーや介護職員が新たな時代を生き抜くためには、これらの用語を整理して使い分け、立ち向かっていかなければならないのだが、現実にはそれができていない。

たとえば、一昨年10月に開催された政府の未来投資会議の席で、日本介護支援専門員協会の役員が「ケアマネジメントの全面ICT化には憂慮する」との意見を提出した。

この事案の資料に目を通したとき、全面ICT化に大賛成である私は、正直、「おいおい、大丈夫か?」と思ったものだ。「全面ICT化」とは、「(最先端の)情報通信技術を全面的にケアマネジメントへ取り入れる」の意味である。これからの世代のケアマネジャーが、日進月歩する情報通信技術を駆使できなくてどうするのか?

あくまでも私の推測であるが、この役員の意図するところは、おそらく「情報通信技術の進化に乗じて職能の本質的な部分が軽視され、人工知能がすべてを統御する行き過ぎた状況になることを憂慮する」であろう。それならば、私の見解と大きな隔たりはない。

しかし、そう言いたいのであれば、ここでの意見は「ケアマネジメントにおいて、全面ICT化を進めることには賛同するが、全面的にAIを導入することには憂慮する」でなければならない。私も含め、介護支援専門員は先端技術の専門家ではないのだから、個人としては混同したり言い間違えたりすることもあろう。しかし、一昨年の事案は、政府の公式な会議に、日本の介護支援専門員を代表する団体が公式な見解として資料を提出して発言したものなのだ。自分たちが専門用語を理解できているのか、しっかり調べてから提示すべきではないだろうか。このような場で「知ったかぶり」をしてしまうと、団体の指導部が恥をかくことになりかねない。

私の主張は「全面ICT化は大いに結構。それを推進することにより全面的にAIに取って代わられる程度の仕事しかしてこなかった人は、ケアマネジャーを名乗る資格がない」である。いろいろな場に臨んで、自分ではその趣旨で話しているつもりだ。わかりにくかったのであれば私の説明が不足していた面があるかも知れないが、他方で、聴き手側の「調べて理解する力」も求められるであろう。

この「ケアマネジメントの全面ICT化推進」と「ケアマネジメントへの全面的なAI導入不可=絶対に人間でなければできない仕事が相当部分残される」とは表裏一体であると、私は考えているが、この両者を関連付けるキーワードが「ビッグデータ」である。

ビッグデータ(big data)とは、計算機において一般的なソフトウェアにより扱える容量を超えたデータの呼称である。単にデータの量が大きいだけではなく、データの種類がバラエティに富んでいることや、データが置かれる時間や空間によって変化していくことが、ビッグデータの特徴として挙げられるであろう。

それでは、ビッグデータが私たちの仕事において具体的にどのような形で存在し、ICT化やAIの導入にどう絡むのだろうか? 次稿では予測される実例を挙げて論じてみよう。

次回に続く)

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