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2020年4月20日 (月)

新型コロナ(3)-感染はどのように広がるのか?

前回より続く)

新型コロナウイルスにより風邪、さらに肺炎を発症させないためにはどうするか?

一言で言えば、身体の中に入れないことだ。

もちろん、身体の中に入れてしまっても、免疫力が高ければ無症状で済む人も少なくない。しかし、可能な限り、中に入れないのに越したことはない。

このウイルスは、他のウイルス同様、宿主である生体「人」がいなければ、時間はともかく自然と死滅する。つまり、生きているうちに人の身体に宿るから、そこで増殖するのだ。

そして、すでに述べたように、感染の大部分は接触感染または飛沫感染である。環境次第で、空気中に微粒子となって漂って滞留することによるエアロゾル感染(<空気感染)もあるが、換気の良い場所であればすぐに四散してしまい、ほぼ感染しない。接触または飛沫により手に付着したウイルスが口、鼻、眼の中に入ると、そこから感染が始まる。

たとえば、自分が潜伏期間であることに気付いていないAさんが、マスクを着用せず電車に乗り、クシャミをした飛沫が手すりに掛かってしまう。そのあと手すりを握ったBさんが、その手で目をこすって感染する。そのBさんと翌日食事をともにしたCさんが、Bさんが会話したとき微量の唾液が隣に居る自分の料理に掛かったのを知らずに、食べてしまって感染する。そのCさんの子どものDさんが、Cさんの汚染された手で触れた家具に触り、その指で鼻の内側が痒かったので掻いてしまい感染する。そして...と、こんな具合に広がっていく。

だから、感染拡大を防ぐためには以下の行動を取る。

(1)手洗いやうがいをする。ウイルスが口や鼻や目に入らなければ良いのだから、ウイルスが付着した手を石けんなどで洗い流したりアルコールなどで不活化させたり、唇や歯に付着したウイルスをうがいで漱ぎ落としたりすれば、感染する可能性は減る。

(2)密集・密接・密閉の場所を作らない。イベントや集会やパーティーに参加すれば、仮に潜伏期間の感染者がいた場合、接触感染や飛沫感染の機会が増える。すなわち、その場が集団感染を引き起こす「クラスター(原義は花の「房」)」化してしまう。人が集まる予定そのものを中止するのが最も望ましいが、必要があって開催しても参加者がマスクを装着し、隣の人と2m以上の距離を取って、屋内ならしばしば換気するなどの対策を採れば、感染が広がる機会は減る。

(3)不要不急の外出や移動を避ける。やむを得ず移動する場合にも、なるべく公共の交通機関を使わない。在宅業務(テレワーク)が可能な業種ではなるべく導入してもらう。予防のためにも、また、万一自分自身が潜伏期間であった可能性を考えると、他人に感染させないためにも、外出や移動を最小限にすることで、感染が広がる機会は減る。

裏を返せば、いま日本や欧米諸国などで感染拡大に歯止めがかからないのは、この三つの原則が十分に守られていないからである。

その中にはもちろん、院内感染など不可抗力のものもあるだろう。どんなにマスクや防護服を用意しても、感染力が強いこのウイルスは、わずかな隙間から侵入する(ウイルスが自分からピョンピョン動くわけではないが、隙があると人体へ入っていく機会をつかみやすい)。最前線で戦ってくれている医療従事者に、四六時中気を張り詰めているように求めることが間違いだ。

しかし、感染拡大の大部分は上の(1)(2)(3)を守っていれば、避けられたと考えられる。(1)は個人の日頃からの生活習慣も影響するが、(2)と(3)とは意識して抑制すれば可能なのだ。

クルーズ船「ダイヤモンド-プリンセス」での集団感染が連日報道され、また2月末から3月上旬にかけて、政府が公立学校の一斉休校を要請したことにより、多くの国民はこのウイルスが厄介なものであることを認識したと思う。しかし、感染の爆発的拡大が抑えられていたので、3月中旬から人々は「大丈夫でしょ?」との錯覚に陥った。そして3月20~22日の三連休で、繁華街での飲食や行楽に多くの人たちが繰り出した。その結果、二週間を経過して、感染拡大が止まらない状況になってしまったのだ。

しかも、国や自治体が繰り返し自粛を呼び掛けたのにもかかわらず、首都圏・関西・筑紫方面から地方へ帰省したり旅行したりする人が結構見られた。その人たちが立ち寄った場所や接した人から感染が拡大した地域がいくつも見られる。若者も、中高年も、高齢者も、一部の人たちを除いて、かなり危機感が薄かったと言わねばならない(帰省しないと生活が成り立たなかった学生などは例外だが)。

首都圏について見聞きするところによると、渋谷や新宿の繁華街こそ人出が大幅に減っているが、昨日の吉祥寺商店街などの画像を見る限り、自粛で他に行き場所がない人たちが、相変わらず密度の高い状況を作ってしまっている。報道ではおそらく、「こんな人たちが...」と強調したい部分を切り取るので、実際には通常の週末よりかなり減っただろうし、生活必需品を購入するためやむを得ず来た人も多いだろうが、中にはただの遊びや「昼飲み」に来た人もいることが報じられている。江ノ島や鎌倉まで、他県から行楽へ出向いた人たちも少なくない(報道されたのはあくまでも一例なので、他の地域の他の町でも、類似したことが起きていると思われる)。

このウイルスの感染力は、5人のうち4人が自粛しても、1人の不用意な行動が(もし、その人が無症状の感染者だった場合には)新たな10人の感染者を作るレベルなのだ。もし甘く考えていると、一週間、二週間先が憂慮される。

他方、3月22日に「強行開催」されたK-1では、会場のさいたまスーパーアリーナに6,500人の観客が詰め掛けたので、席の間を広くし、アルコール消毒も完備し、かつ、将来感染者が出た場合に経路をたどれるよう全観客に記名を義務付けたという。いまだにこのK-1から感染者が出たとは報じられていない。偶然、潜伏期間の人が一人も居なかった可能性もあるが、もし、このまま「クラスターにならなかった」状況で経過すれば、慎重に準備され統制されたイベントであれば開催可能との前例になるかも知れない。

日本の法制度は欧米の多くの国と異なり、行動制限を強制することはできず、逆に補償する制度もない。緊急事態宣言が出されたことにより、国民が行動を変容して感染拡大を防げるのか? 私たちの自覚が問われている。

ところで、この感染拡大がもたらしているのは、疾病だけではない。それについて触れてみよう。

次回へ続く)

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