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2020年8月16日 (日)

脱毛と植毛の広告から考えたこと

はじめにお断りしておくが、「毛」をテーマにしたエントリーではない。

真面目な話題であるが、あまり重苦しい内容にしたくないので、自らの卑近な例から論を起こそうと思うのである。

一昨年、GoogleやFacebookで、「脱毛」関連の広告が複数、にわかに登場した。しばらくその状態が続いたのだが、昨秋からこんどは逆に、「植毛」関連の広告が表れ始め、いまだにときどきは「脱毛」が登場するものの、頻度は「植毛」のほうが大幅に増え、ほとんど毎日表示されるようになった。

ご存知の通り、「脱毛」と「植毛」とは、おもに対象とする身体の部位が全く異なる。前者は普段他人に開示しない隠れた部分であるのに対し、後者はほとんど頭髪が対象である。両者に直接的な関連はない。

そこで、広告が増えた原因を推察してみた。

前者で考えられる原因は二つ。一つはFBで親しい人たちに(年齢を省みず(^^;)「婚活するぞ!」とぶち上げて、(中高年男性なのに...)美容系の商品に関心があると推測されたらしいこと。もう一つは、@Niftyの検索で一回「VAIO」と打つところを間違えて「VIO(笑)」と打ってしまい、候補に出てきたサイトを興味本位でのぞいてみたら、関心があると誤解されてしまったらしいこと。

後者の主たる原因は、時期から考えると明らかだ。埼玉県在住のこの方と初めて会い、それを節目に氏とFB上でのやりとりが増えたことから、「増毛」に関心があると把握されたらしい。自分自身の頭髪もかなり寂しくなってきたが、直近の画像はほとんどアップしていないので、やはり上記の方とのお付き合いが直接的な原因だと推測している。

ここで、私の関心が「推測された」「誤解された」「把握された」のは、「誰によって」なのか?

言うまでもなく、広告を流したい人たち(スポンサーになった広告主から宣伝料をもらい、ブラウザやSNSや「まとめサイト」を無料で運営している人たち)である。閲覧者の興味や関心をAIで分析し、その結果を活用して閲覧者に見てもらえそうな広告を選択して送り、その関連商品を購入したくなるように誘導する。インターネット黎明期には技術的に困難だったやりかたが、いまはごく一般的な手法として活用されている。

つまり、「相手(相手側の集団)はどんな人(集まり)か?」について、開示された情報から理解した上で、自分(自組織)が相手に提示したい情報を送り付けることが可能になっているわけだ。

さて、本題。

昨日(8月15日)は終戦75年。第二次世界大戦で命を落とした(日本国民のみならず、世界中の)人たちの安息を祈りつつ、戦争について考えてみた。

いま、世界の各地で、国境線や国内派閥間の紛争などの「熱い戦争」が起きている。かつての大戦と規模こそ違え、銃撃や爆撃で命を落とす人が後を絶たない。

しかし、いまやこの種の「戦い」は、戦争の規模が大きくなるほど、「限定的な手段」になりつつあるのだ。

たとえば、私が日本を敵視するA国の独裁的な指導者だとしよう。もし日本へ侵略戦争を仕掛けて勝ち、日本国民を隷属化、そこまでいかないまでも、強い影響下に置こうとしたら、どうするか?

いきなり日本へ攻め込むことはしない。日本側の内部を分裂させ、国力を弱めることや、日本を外交的に孤立させ、味方して戦ってくれる国を無くす、または最小限まで減らすことに力を入れる。そして、短期決戦で十分に勝てると見込んだ時点で、日本に宣戦する。

その内部分裂や外交的孤立の手法は、先に述べた広告と同じやりかたを何万、何億と積み重ねたものだ。すなわち、AIを活用し、ICT技術を駆使して、日本の政治指導者・政党、経済面の重要人物、社会的なキーパーソンなどの関心の向かう先を迅速に把握し、先回りして罠を仕掛ける。日本国民の動向を誤った選択に導き、世論を攪乱させる。「生活に便利だから、A国に(政治的にはともかく、経済的には)従属してもしかたがない」と考える日本国民を増やす。加えて、適時に日本の自衛隊などの軍事的核心部分の機器にサイバー攻撃を加えて使用できなくするなど、遠隔地からじわじわと日本の「首を絞めて」いく。なので、実際にA国軍が日本に侵入して銃撃や爆撃を加えてくる時期には、すでに戦争は終わっているかも知れない。

もちろん、このような対敵事前工作は、古代から常套手段として展開されていたが、ICTの発達により、全く規模が異なるレベルにまで様変わりしてしまった。いまや国と国との「戦争」の9割は、この事前工作であると言って良い。いずれ、政権担当者をAI一つで殺害することができる水準にまで達するだろう。「敵基地攻撃能力は専守防衛の範囲外だ」などと寝言を言っている時代ではないのである。実際に攻撃しないにしても、それが可能な程度の能力を持たなければ、国を守れないのだ。

先の大戦の悲惨な経験をもとに、「平和」を訴える人たちの声は尊い。だからこそ私たちは、「二度と繰り返さない」ために、現代の「戦争」がいかなるものなのか、正しく理解しなければならない。国民のみなさんには、75年前のカビの生えた「戦争」の知識にしがみつかずに、頭の中をアップデートしていただきたいと願っている。

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