« 「岐阜で大食いして、ゲフッ...」「美濃で、身のほどを知れ!」 | トップページ | ネット民たちは何を標的にしたいのか? »

2020年10月 7日 (水)

通所系・短期入所系サービスの特例加算に物申す

新型コロナウイルスの感染拡大防止をめぐって、医療機関に限らず、介護サービス事業所も対応に追われてきたことは、多くの市民がご存知だと思う。

そのような中、厚生労働省から6月1日付で、事業所の対応を適切に評価する観点から特例の加算を設けるとして、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」なるものが発出された(以下、単に「第12報」と称する。後出の略称「第13報」-6月15日発出-も本来のタイトルは同じ)。

本ブログには介護業界以外の読者もおられるので、詳細な内容は省略するが、おもな部分の概要は以下の通りである。

・通所系サービス(通所介護・地域密着型通所介護・認知症通所介護/デイサービス、通所リハビリ/デイケア)については、定められた日数を上限に、利用者が実際に滞在利用した時間に二時間を増した保険点数を算定できる。

・短期入所系サービス(短期入所生活介護・短期入所療養介護/ショートステイ)については、定められた日数を上限に、通常のケアプランに基づく利用であっても、緊急短期入所受入加算を算定できる。

・利用者負担(一割から三割)が発生する。

・介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携し、利用者から事前の同意を得る必要がある。

さて、これはいわゆる「箱物」事業所のうち、利用者の出入りが頻繁にある通所系と短期入所系のサービスについて評価したものであり、方向性自体はおかしなものではない。

しかし、現実の運用においてはさまざまな問題が起きている。

(1)介護支援専門員にとっては業務が増加している。
「第13報」では、「当該取扱いを適用する場合には、居宅サービス計画(標準様式第6表、第7表等)に係るサービス内容やサービスコード等の記載の見直しが必要となるが、これらについては、サービス提供後に行っても差し支えない。」となっている。そのため、介護支援専門員は「サービス利用票・提供票(第6表)」と「同上、別表(第7表)」とを利用実績(特例加算の算定を含む)の数字に合わせて再作成しなければならない。たとえ当該月の予定として表を発行するときに特例加算をすでに組み込んでおいたとしても、事情により利用回数が予定より(減った場合はともかく)増えて、特例加算の回数も増えた場合には、再発行は必須となる。介護支援専門員は実績確定後には速やかに利用者を訪問し追認してもらう必要がある(郵送+電話だと、どの部分の算定がどう変わっているのか理解するのが困難な利用者やキーパーソンも少なくない。持参して説明してさえも毎回「何これ?」などと聞き返される場合もある)が、これは感染拡大予防のため居宅訪問を電話等での状態確認に替えられるとした以前の通知と、全く相反するものでしかない。私自身も居宅訪問の頻度は増えている。

なぜ「介護支援専門員は給付管理を的確に行えば、第6表と第7表の見直しや再作成をしなくても良い」とならなかったのか? その根っこには介護支援専門員(ひいては介護業界全体)に対する厚労省の「不信のモデル」が尾を引いているのではないかと、私は感じている。詳しくは拙著『これでいいのか?日本の介護』に述べたので、ここでは触れない。

(2)利用していない部分のサービスに対する利用者負担が延々と発生する
この加算は利用者の負担が発生するのに加え、その終期が定められていない。新型コロナウイルスの影響で収入が減っている家庭が多い状況で、たとえ月々数十円から数百円であっても、それは新たな負担となる。ましてや、保険対象限度額を超過してサービス利用している一割負担の利用者にとっては、点数の十倍以上の金額を負担しなければならないことになる(たとえ同意してもらっても、はみ出した月に限って事業者側が配慮して加算を取らない裁量は認められているが、その月は国保連のほうへ介護報酬を請求する際にも加算を算定しないことになってしまうから)。すでに事業者に対しては介護慰労金(コロナ禍で苦労した職員対象)やかかり増し経費支援金など、都道府県による緊急包括支援も実施されており、利用者から延々と負担を求める大義は薄れている。

(3)臨時の取り扱いが続くことは、制度の仕組みから望ましくない。
この加算はあくまでも、一時的な特例であり、速やかに正規の報酬改定がなされるべきである。来年3月に介護報酬改定があるため、厚生労働省としてはそこで整理するつもりなのであろうが、これまでも介護報酬は三年ごとにすべてが変わるのではなく、途中での変更が加えられたことは何度か起きている。今回も5月から議論されていたのであれば、社保審の介護給付費分科会に諮った上で、10月から通所系と短期入所系に関して、部分改定する余裕はあったはずだ。臨時の取り扱いとなった経過が不明瞭である。

(4)同意しなくても不利益な扱いを受けないはずであるが、実際には事業所からその点についての丁寧な説明がなく、むしろ不本意ながら同意せざるを得ない状況に追い込まれている場合がある。
これには特殊な地域性である(独占・寡占など)とか、介護支援専門員がサービス事業所と同じ法人に所属しているとか、さまざまな要因が考えられるが、利用者側がそこのサービスを受け続けないと不利な立場にある場合、事実上は対等な立場での同意になっていないことが想定される。不当な事例に対しては行政が介入すべきなのは当然であるが、利用者側から事業所に対してものを言いにくい状況である事例は、全国的に少なからぬ地域で発生していることが、SNSなどにより報告されている。
私の利用者さんでの中には、事業所から半ば強要されたなどの明らかな不当事例は見当たらないが、それでも行き先に友人が多い方などの中には、ご自分だけ不同意でも何がしかの差別的な扱いが生じないか、懸念している方もおられることが窺えた。逆に、地縁関係が薄く、通所は一つの地域資源だと割り切っているキーパーソンさんには、最初から同意されなかった方もあった。
同意・不同意をめぐって受益者側を当惑させる加算が好ましいものだとは言えない。

結論から言えば、この加算自体を一時的なものとして評価するが、すでに(地域差はあるものの)多くの事業所で一通りの感染予防対策が確立している現状では、早々に終了させるのが望ましい。

とは言っても、現実にはこのまま来年の3月まで続くであろうことが予測される。

そこで、いったん同意したが、もうこの辺りで終了したい方(利用者さんやキーパーソンさん=利用者の意思を当面代位されている方)のために、こんな参考書式を作成した。各自の自己責任で、日本全国のどなたがお使いになっても差し支えない。気に入らない表現があれば、ご自身で加工してくださって全く構わない。口頭では言いにくいがこんな書面があれば事業所へ通告しやすい場合など、活用してくだされば幸いである。

また、あなたやあなたのご家族の担当介護支援専門員(ケアマネジャー)が、この「途中でも同意を終了できる」権利について、全く話題にもしない人であれば、そもそも権利擁護の基本を身に着けていないと考えられるので、早々に見限って他の介護支援専門員に乗り換えたほうが良いことを、ご忠告しておく。

« 「岐阜で大食いして、ゲフッ...」「美濃で、身のほどを知れ!」 | トップページ | ネット民たちは何を標的にしたいのか? »

ケアマネジメント」カテゴリの記事

介護」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「岐阜で大食いして、ゲフッ...」「美濃で、身のほどを知れ!」 | トップページ | ネット民たちは何を標的にしたいのか? »

フォト
無料ブログはココログ
2020年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

他のアカウント