子どものケンカ???
少年時代はおとぎ話だと思っていた、スウィフト(1667-1745)の「ガリヴァー旅行記」。成長してから全訳本を読んで、当時の政治家たちをはじめとする国民を、彼が強烈に風刺していたことを知った。しかし、第四篇「フウィヌム国渡航記」に「ヤフー(Yahoo社名の由来の一つでもある)」なる野蛮な類人猿が登場し、敵に排泄物を浴びせ掛ける描写、そしてそれがガリヴァーの故郷・英国の人々に擬せられている記述を読み、あまりにもどぎついその表現に、正直ついていけなかった。
ところが、いまの日本ではしばしば、通行中に排泄物(便、尿、体液)を他の人にぶっ掛けたり投げつけたりして、逮捕される人間の行為が報じられている。この種の事件が日本の各地で発生し、跡を絶たない。寡聞の範囲では、これらの犯人(≒容疑者)はほとんど男性だが、年代は老若さまざま。しかも、その一部は、年輩で地位のある人(たとえば学校の教頭など)なのだ(もちろん、その一部は精神疾患や認知症である可能性を否定できないが)。
どうやら、一部の日本国民は本当に「ヤフー」の水準まで退化してしまったらしい。嘆かわしいことである。
そして、退化とまでいかなくても、「この人たち、本当に大人(おとな)なのか?」と疑わせる事案は、さらに数多く、連日のように報じられている。
直近の例を二つ。
1.総合格闘技団体が主催した大会。招かれたのは米国の超弩級王者(プロボクサー)。ところが日本選手と対戦する前、オークションを落札してプレゼンターになった男性(政治団体の代表)が、なんと花束を王者に渡さず床へ投げ捨て。その理由は、王者が来日して自分や他の選手に対し非礼を働いたからだとのこと。そもそも言語や文化の違いから意思疎通ができていなかった可能性もあり、本当に非礼だったのか疑問。仮に氏の主張通りだとしても、リング上では大王者に対するリスペクトがあって当然。プライバシーを公的な場に持ち込むこと自体が幼稚な所業であろう。
2.某県の某市(県都の政令市)が台風のため甚大な被害。ところが県知事が自衛隊に(給水車などの)支援の派遣要請をしたのはその二日後。実は市長と県知事とは犬猿の仲。理屈から言えば、市長は冷静に事態を整理してから県へ話を通したのだろうし、県知事は市側の現状を見極めてから要請したのだろうけれど、本音は「市が当面対応できれば、慌てて県知事に要請を要求したくない(市長)」「市長が頭を下げてこなければ自分から要請する気になれない(県知事)」だったことがミエミエ。非常時に住民そっちのけで何をやっていたのだろうか。
この二例、プレゼンターや市長・県知事の振る舞いは、まさに「子どものケンカ」としか思えない。
私自身、これらを他山の石として、「あの人、大人気(おとなげ)ないね」と周囲から嗤われないように、日頃の言動に気を付けたいものだ。
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