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2023年2月

2023年2月22日 (水)

「この程度の業界」だと思われたいのか?

どの業界にも言えることかも知れないが、一つの仕事を長く続けていると、それに関連する事象にはたいへん該博になる反面、「あなたはこんな良識もわきまえないのか?」と周囲から指摘されるほどの、世間知らずになってしまうことがある。

「著作権」に関する知見もその一つだ。

私にはマイナーながら、だいぶ前に出版された自著本がある(画像はその一つ)。

Photo_20230219221901

もし、誰かがこの著書の一節をまるまる複製して、その画像を拡散したらどうなるだろうか? それを見て「興味深いことが書いてあるから、購入しよう」と思ってくれる人もいるかも知れない。しかし大半の人たちは「一節をタダで読めたからもうけもの!」と考え、この本を購入してくれないだろう。

つまり、画像を拡散した人は、本来収入が入るべき出版社、さらに著者(この本については、原稿料をいただいているので、当面、私に直接的な損失はない。しかし自分が著述した内容が全く脈絡のない場面で出回るとしたら、それは大きな問題であるが...)の権利を不当に奪っているのだ。

さて、介護業界に関連する朝日新聞の記事が、最近SNSで話題になった。

この記事は本来、同紙を有料で購読している人、およびネット記事の有料会員になっている人だけが、全文を読むことができる。知りたい人はお金を払って情報を手に入れる。当然のことだ。

ところが、私のFacebook友達になっている複数の方が、購読者しか読めないはずの記事全文、または主要な部分を転載していた。

そこで、何人かの方々に「著作権について許諾を得ていますか?」等の確認のコメントやメッセージを入れてみた。お一人の方とはやりとりができ、引用したことを「反省している」との返事をもらい、趣旨を理解してもらえたと思われるが、他の方々からはだんまりである。それどころか、業界の多くの人たちによって「全文」が次々とシェアされており、誰でも読める状態になっている。おそらく、ほとんどの人たちは、朝日新聞社の許諾を得ずにシェアしているものと推察される。

これは記事の剽窃であり、朝日新聞社の「著作権」への侵害にほかならない。

介護従事者は高齢者・障害者などの他者の権利を守るのが仕事であるはずだ。一人では生活できない人たちに対し、度合いの違いこそあれ、直接・間接に側面的な最善の支援を行い、人として当然に希求する権利がある「望ましい生活」を実現してもらうのが、私たちの業務の基本にある。

その介護従事者が、たとえ相手が巨大なメディアであったとしても、他者(社)の権利を侵害しているのであれば、自分たちの仕事の矜持もへったくれもない。待遇の劣悪さを改善してもらうべく国や社会へ働き掛けなければならないのに、守るべき社会規範を守らなければ、主張していることも響かない。

「介護って、この程度の業界なんだね?」と思われたいのだろうか?

特に新聞記事は悪意なく勝手に引用してしまいがちであるが、非公開の記事はルール(日本新聞協会)にのっとって扱わないと、あとで新聞社から料金を請求される可能性がある(そのエントリーは非営利でも、何らかの形で営利に結び付くと判断された場合である)。今回、上記の記事を転載したすべての人は、手元に請求書が送られてくることを覚悟しなければならない。

まず、守るべきものは守ろう。そうしてこそ、自分たちの権利も社会から守ってもらえるのだ。

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