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2024年1月 8日 (月)

抗えない自然の力

元日の夕方に発生した能登半島地震は、文字通り日本中を震撼させる災害となった。

何しろ当地・浜松でもグラッと揺れて(震度3)、一瞬「屋外へ逃げるべきか?」と迷ったぐらいだから、現地の当事者である石川県周辺の方々の驚愕と混乱は、たいへんなものであっただろう。

この地震で多くの家屋が倒壊したことなどにより、多数の死傷者が出た。特に、正月休みで実家に帰省していていて(中には例年は帰らないのに、十数年ぶりに帰っていた人もある)、不運にもこの震災に巻き込まれた人が少なくない。まだまだ充実した社会生活を送ることができたはずの若い人たちが、人生半ばで終幕を強いられてしまった。亡くなった人たちの無念の思いも、遺された家族の悲嘆も、言葉では言い表せない大きなものがあろう。

また、避難所に身を寄せている人たちの多くが、物資が充足されていない中で、当面の健康・衛生管理や今後の生活に大きな不安を抱えて、気持ちが安まる暇(いとま)もないと察する。

人智を尽くしても、自然の力には抗えない。日常から備えることによりある程度の減災はできても、完全に被害を無くすことは将来にわたっておそらく不可能である。

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かつてシー‐シェパードの代表、ポール‐ワトソン(Paul F. D. Watson)は、2011年の東日本大震災の直後に、"Tsunami"のタイトルで、このような詩を公開した。

Neptune’s voice rolled like thunder thru the sky (海神の声は空をつんざく雷鳴のように巻き起こり)
Angrily he smote the deep seabed floor     (彼は怒って深い海底を打った)
From the shore echoed mankind’s mournful cry (岸から人々の悲鳴がこだまする中で)
…The sea rose up  and struck fast for the shore (...その海は盛り上がり、岸を目がけて襲い掛かった)

From out of the East with the rising sun    (東の果てから昇る太陽とともに現れる)
The seas fearful wrath burst upon the land   (海の恐るべき憤怒は陸地を引き裂く)
With little time to prepare or to run      (備えたり逃げたりする余裕もなく)
Against a power no human can stand     (自然の力の前には誰も立っていることができない)

(筆者訳)

ワトソンは環境テロリストとも称されており、私が嫌いな活動家ではあるが、この詩は脚韻もしっかり踏んでおり、読み手にも趣旨が明確に理解できる良作だと思う(当時、英語力の乏しい一部のネット民から、あたかも彼が大震災を「天罰」だと言っているかのように非難されたが、もちろん誤解だ)。

今回の能登半島地震についても、「ああしておけば」「こうしておけば」と悔やむ人たちも多いだろうが、たとえ備えがあっても、それを超える大きな力が加われば、被災を免れないのが現実である。すでに起きたことを振り返りながら、私たちは一歩一歩前へ進んでいくしかない。私自身は直接支援活動に参加できる立場ではないので、事態が流動しているいまの時点で、何かを提案したり論評したり、また政府や自治体の対応を批判することは控えたい。

ただただ、被災された方々の心の平安をお祈りする。

四つのプレートの境目にある日本。来るべき東南海(南海トラフ)地震へ向けて、少しでも被害を減らすために、私たちは何をすれば良いのか? これから市民レベルで、そして全国民レベルで、議論を深めていこう。

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